診療看護師とは?についてもう一度記事に書く
最新の診療看護師の定義は
診療看護師(NP)とは「NP協議会が認める NP 教育課程を修了し、本協議会が実施する NP 資格認定試験に合格した者で、患者の QOL 向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師」
です。
気づいただろうか??実は診療看護師の定義は2020年に変更されています。前の定義を知っている人は特に驚いたかもしれない。
この診療看護師についてや定義について詳しく解説する
診療看護師のできること・どんな事するの?
簡単にまとめると、診療看護師は海外のナースプラクティショナーという資格を参考に日本版ナースプラクティショナーという位置づけとして創設された民間資格である。
厚生労働省の平成29年4月6日の新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書( 資料)では以下の様に紹介されている。
現在、我が国において「診療看護師」は制度化されていないが、 日本NP教育大学協議会の認める教育課程を経て認定された看護師が、特定行為として認められている医行為に加えて、挿管、腹腔穿刺等の医行為を行っている。
なお、同協議会の認定する看護師は、あくまで現行法の範囲内で、医師の指示の下、診療の補助を行うものであり、医師の指示を受けずに一定レベルの診断や治療などを行うことができる米国等の「ナース・プラクティショナー」とは異なる。
もちろん海外と日本では看護師の出来ることが違うため海外のナースプラクティショナーとはまったく同じことができるわけではない。しかし、普通の看護師よりは多くの侵襲的な医行為やより範囲の広い診療の補助を行う存在だろう。
7つの能力を有する診療看護師
診療看護師に必要とされる能力は7つの能力の実践を上げている。資料

診療看護師の7つの能力
1)包括的健康アセスメント能力
2)医療処置・管理の実践能力
3)熟練した看護実践能力
4)看護マネジメント能力
5)チームワーク・ 協働能力
6)医療保健福祉制度の活用・開発能力
7)倫理的意思決定能力
これらを組み合わせながら看護をしていく。
では具体的に何しているのか?は実際の病院で活動しているNPを参考に以下で説明する。
診療看護師のスケジュールは?
結構特定行為などの医行為に焦点が当てられがちですが、一日のスケジュールの中で医行為をがっつりやることはあんまりありません。
他の医療従事者と連携を取りながらマネジメントしてく場合がほとんどだと考える。その延長線上に処方代行や医行為などが付いてくるイメージだ
実際にNPの仕事内容は採用情報のサイトをみればわかるけども、分かりやすくて有名どころを紹介します。
是非就職の候補にしてください。
湘南鎌倉病院の場合
湘南鎌倉病院は8時30分からの情報収集から始まるようだ。午後1時には勉強会・抄読会で情報のアップデートを測っているよう。

湘南鎌倉病院 診療看護師
川崎幸病院の場合
石心会 川崎幸病院も仕事内容が分かりやすくまとめてある。時間をかけた丁寧な診察・ケアを心がけているようだ。医行為もバリバリやっていそうなイメージ

川崎幸病院 診療看護師
福岡和白病院の場合
福岡和白病院では朝にもろもろを済ませてしますイメージ。摂食や栄養に関する取り組みもしているのが特徴だ。

福岡和白病院 診療看護師
3病院のを事例としてあげたが、各施設によってやっていることはバラバラです。実際に病院見学などを通して雰囲気をつかむのもおすすめ。多職種カンファはどこもやっていそうですね。
新規開拓するNPはこれらを参考に自分のやりたいことを出来るのも魅力かもしれない。もちろん病院の求めるものに沿う必要があります。
心臓血管外科のNPについてはこちら 心外NPについて
診療看護師になるには?
診療看護師になるには、看護師経験年数5年以上を満たしていることが条件となる。そして、診療看護師を養成している大学院で最低2年間学び、NP協議会のNP認定試験に合格する必要がある。
看護師がNPになるための大学院一覧
詳しくは診療看護師養成大学院にまとめているので気になる方はこちらをどうぞ
「診療看護師とは」で検索して出てくるのは
最近、診療看護師で検索してみると以下のようなサイトの内容がトップに出てくる
診療看護師とは大学院の修士課程を修了した看護師であり、医師不在時等においても迅速かつ安全な医療を提供できるよう、あらかじめ作成した手順書(※1)に沿って、特定行為(※2)をはじめとする診療行為を行うことができる看護師です。関西ろうさい病院の診療看護師は、チーム医療の一員として様々な職種と協働し、治療と看護の両面から患者さんに安心安全でより良い医療を提供できるように関わっています。関西ろうさい病院サイトから引用
診療看護師(Nurse Practitioner:ナースプラクティショナー 以下NP)は、看護職でありながらより医師サイドにたった診療を、一定の制限で行える、国が認めた新たな制度上の看護師です「厚生労働省 特定行為に係る看護師の研修制度」。看護師をバックグラウンドに持ち、医学を学ぶことで、医師と共通言語を持って診療にあたることができます。患者さんやその家族を中心とした医療を行う上で、看護師が治療方針を的確に理解し、治療計画を看護計画に反映することは、チーム医療を行う上でとても大切です。
湘南鎌倉病院から引用診療看護師(Nurse Practitioner:NP)とは大学院の修士課程において、医学の知識と初期医療に関する実践を修了した看護師です。医師が何らかの事情により患者さんへの対応が困難な場合に、迅速かつ安全な医療を提供することが当院での診療看護師の大きな役割の一つとなります。この中には、あらかじめ作成した手順書によって『包括的指示』により実施する特定行為(後述)と、医師からの『具体的指示(直接指示)』により実施する相対的医行為(特定行為を除く)があります。相対的医行為の例として、腹腔穿刺、気管内挿管、ERでの救急対応、手術助手などがあります。また、患者管理の一端として、検査や処方などを代行入力することもあります。
さくら総合病院から引用
などだ。
これは具体的な活動向きの説明でとても分かりやすいものだ。これらのサイトを訪れて見てみれば、一通りの実際のNP・診療看護師の働き方や役割が分かるだろう。また、基本的に経験年数5年以上の看護師がなることが出来る。
しかし、これらの説明で必ず出てくるのが特定行為と指示書などの文言が出てくる。確かに診療看護師の大学院では特定行為研修も抱き合わせで教育をしている。
しかし、これらの内容は既に古い可能性が高い。
なぜなら新定義では特定行為という文言は削除されたからだ。
下記で詳しく解説する。
ちなみに特定行為を行う特定看護師と診療看護師の違いはこちらにまとめている
診療看護師と特定看護師の違い
加えて、特定行為とはについてはこちらにまとめている
特定行為と特定看護師
また、診療看護師は日本看護協会でナースプラクティショナー(仮称)制度で取り上げられており、診療看護師の今後の可能性はこちらでまとめている。診療看護師は将来が楽しみな民間資格である。
日本看護協会が目指すナースプラクティショナー:NP(仮称)制度:診療看護師とNP
ちなみに診療看護師の給料や収入についてはこちらでまとめている
どんな施設が募集しているかはこちらでまとめている
2020年に診療看護師の定義を変えたNP協議会
診療看護師を認定する組織、大本の組織は一般社団法人日本NP教育大学院協議会(NP協議会)であるが、2020年11月20日に診療看護師の定義をマイナーチェンジしている。
以前までの定義は、
診療看護師とは、本協議会が認めるNP教育課程を修了し、本協議会が実施するNP資格認定試験に合格した者で、保健師助産師看護師法が定める特定行為を実施することができる看護師
であり特定行為の文言はしっかりあるのである。
しかし2020年からは以下のように変更になったのである。
診療看護師(NP)とは「NP協議会が認める NP 教育課程を修了し、本協議会が実施する NP 資格認定試験に合格した者で、患者の QOL 向上のために医師や多職種と連携・協働し、倫理的かつ科学的根拠に基づき一定レベルの診療を行うことができる看護師」資料1から引用
と定義されている。
NP協議会の悪い所であるが頻回に診療看護師の定義を変えるのと周知が全然出来ていないところ!
ちなみにNP協議会とは?についてはこちらを参考にどうぞ→日本NP教育大学院協議会とは?
それは置いといて、以前は特定行為を実施する看護師という文言が入っていたのだが、この改定で特定行為の文言がなくなっている。
これは特定行為はあってもなくても関係ないという方針の現れなのでないかと考える。またナースプラクティショナーの国家資格化や法改正をにらんだ文言なのかもしれない。
また、この定義では「一定のレベルの診療を行うことができる看護師」という用語も追加されている。あくまでも医師の包括的指示レベルでの診療を行うことができる看護師なので、自律して診療ができるわけではないことに注意が必要だ。(※とても勘違いされやすいです)
教育は自律して診療ができるレベルのことを学んでいる。法改正が進めばここは【一定レベル】から【自律】に文言が変わるかもしれない
ちなみにホームページの【日本NP教育大学院協議会とは】のページの診療看護師の定義は変わってないので要注意である(なにしとんねん!)
令和2年の一般社団法人 日本NP教育大学院協議会 定款でも新定義が用いられているので、NP協議会の更新ミスと思われる。一般社団法人 日本NP教育大学院協議会 定款
NP協議会は看護師が特定行為をこなうことにより一定の効果はあったが、それでも充足できていないニーズがあると考えている。
そのため、法改正も視野に入れたナースプラクティショナー制度の導入を日本看護協会・日本看護連盟・日本看護系大学協議会と連名で、自民党看護問題小委員会に要望書を提出している。ナース・プラクティショナー(仮称)制度の創設に関する要望書

ナースプラクティショナー制度 要望書の内容
すでに諸外国でナースプラクティショナーがある国では効果を認めている。日本ではどうなるかわからないが、日本の看護界が国に働きかけているのは事実である。今後どうなるか今後が楽しみである。
また、アメリカのナースプラクティショナー歴史についてはこちらでまとめています。米国ナースプラクティショナーについて

ナースプラクティショナー制度 要望書 海外のNPについて
まとめ
今回は定義が変わっている診療看護師とは?について説明した。古い定義は混乱を招くので早めにアップデートすることをおすすめします。
私も最近気づいたから人のこと言えませんが、、、。またアップデートされるようであれば周知します!
診療看護師を目指す人は養成している大学院一覧をまとめているので参考にされたし
気になる診療看護師の給料について