心臓血管外科の診療看護師について:心外NPとは?何するの?

心臓血管外科NP 診療看護師について診療看護師・特定看護師
心臓血管外科NP 診療看護師について
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今回は心臓血管外科、心臓外科の診療看護師の働き方について特集する。診療看護師とは?リンク

心臓外科は特集な領域で、患者の状態は刻一刻と変化する。
その変化に対応できるだけの判断力や適宜ケアできるだけのスキルが要求される領域だろう。

ある意味急性期の花形的存在ともいえるかもしれない。

そんな心外NPの働きぶりをリスペクトも込めて紹介する。なおネットだけで集めた資料で構成されるため、少し現実と乖離があるかもしれない。

本当に目指す予定や気になった方は実際に施設に問い合わせて見学や話を聞くと良いだろう。

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心臓血管外科NPについて・日本心臓血管外科NPの会

心臓外科の診療看護師が集まる会が設立され活動している。 日本心臓血管外科NPの会

そこでは

心臓血管外科NPとは・・・心臓血管外科領域で活動する周術期管理のエキスパートです。私たち心臓血管外科NPは、心臓手術をとりまく医療を『つなぎ』『促進させる』そんな役割を担っています。引用: 日本心臓血管外科NPの会

と述べている。

心外NPは手術の助手や術後管理をするポジションだけと思われることも多いかもしれないが、実は入院から退院まで幅広くカバーすることが分かる。そこに看護をしっかり乗せていくのであろう。

では実際の働き方について説明する

外来などでの術前診察のサポート

術前診察のサポートをNPが行うことがあるようだ。(1)(2)

下図:引用:(1)より

術前には患者の血糖コントロールや心不全等の全身管理を行うとともに、患者への術前説明や術前カルテへの記載、術前歯科診察の手配、中止薬の指示等を行う。
手術までに必要な検査(採血・レントゲン・心電図・超音波エコー・CT検査など)を計画したり、必要な診療科受診などの準備を行う。多忙な医師に代わり患者と時間をかけてコミュニケーション通してニーズを把握するのも大切であろう。
NP の存在は患者や家族にとって相談しやすい身近な存在でもあり,安心感へとつながっているようだ。(3)

術後管理・病棟管理

タイムスケジュール

下図:引用(1)より

下図:引用(4)より

とある2施設の心臓外科診療看護師のタイムスケジュールである
主にICU・病棟を管理する場合と手術に関わる場合があるようだ。
少し動き方のイメージがついたであろうか?
朝は回診から始まり、病棟管理または手術をこなし、最後はカンファレンスで終わるようだ。
多職種カンファレンスはどこも実施している。

では具体的な業務の内容について述べていく。

ICU・病棟ラウンド

大体どこの施設もICUや病棟のラウンドを医師と時には多職種でラウンドを行う。
多職種カンファや症例のプレゼン、前日から夜間の状態を医師看護師と共に確認(5)し今後のプランを練るようだ。

患者のマネジメント

詳細な問診、全身診察を行い、手術に必要な検査をオーダー入力し、スケジュールを立案。
看護部への指示出しやリハビリのオーダー入力など主としている。(1)
また、検査結果を確認した後、薬剤や点滴のオーダー、必要に応じて他科にコンサルトや安静度の変更、退院前の生活指導や栄養指導依頼なども行っている。(6)
病棟にいることで看護師や多職種からも声を掛けやすい存在でいるように意識もしているようだ。

ICU・病棟での医療行為・処置

✔手術の傷の処置
✔抜糸、抜鈎
✔動脈採血
✔一時ペースメーカー抜去
✔ドレーン抜去(胸腔ドレーン、心嚢ドレーン)
✔CV、Aラインの抜去
✔PICC挿入
✔抜管
✔呼吸器変更、ウィーニング
✔気管切開チューブ交換
✔陰圧閉鎖療法
✔輸液管理
✔カテコラミンの調整
✔抗不整脈によるレートコントロール
✔疼痛コントロール
などなど多岐にわたるようだ。(3)(5)

ある施設での診療看護師の手技の内容である

下図:引用(7)より

心臓外科手術の術後管理や病棟管理の実際がイメージできたであろうか?医療行為ばかりに目が行きがちだが、それ以外の患者さんとのコミニケションや看護アセスメント、退院のサポート、リハビリや栄養評価や介入、多職種との相談役などもしっかりこなしていることを改めて強調しておく。

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手術助手

手術助手としては,第 2 助手を中心に開閉胸や止血では第1助手を務めることもある

内容としては、藤田医科大では器材の準備・人工心肺回路の準備・大腿動静脈の露出・術者監視下での大伏在静脈の採取・鈎引・吸 引・結紮など多岐にわたっている。(3) 
縫合などはもちろん行っているだろう。
手術が円滑に進むように全体の状況を把握し手術の安全性や質の向上を目的にしているようだ。凄い、、。

心臓血管外科診療看護師がいることのメリット・デメリット

心臓血管外科NPのメリット

患者・医師・多職種へのメリット

患者・・・適切なタイミングでの処置が可能、外来において、医師には聞きにくい生活面、経済面、介護等について確認ができると患者からは評価されている、術前、術中、術後と一連で同じ診療看護師が関わることでの安心感

医師・・・手術に専念でき、症例数を多く経験できる。タスクシフト・タスクシェアに貢献できる

他職種・・・医師の手術中の指示待ち(胸腔ドレーン抜去等)時間の解消、患者の状態について相談しやすい、他職種と共通理解を促すことが可能
などが挙げられている。(1)
手術助手に入る場合は症例数はどうなんだろうかと考えるが、、、。

入院日数の短縮・医療費削減が期待できる

また単施設の報告であるが入院日数の短縮(p<0.01)、医療費の削減効果も期待が出来る。
非常に期待される領域だと考える。(8)

心臓血管外科NPのデメリット

これは管理人が個人的に考える項目である

侵襲性が高い処置を行うため、もしもの保証は大丈夫か?

もしNPが行った行為後に患者が急変、最悪死亡し訴訟に発展した場合は懸念が残る。当然医療安全の部署と念密な打ち合わせをしているだろうが懸念が残る。
しかし、程度の差はあれ看護師でもこの危険性はあるから大きな問題では無いのかもしれない。

絶対的医行為というグレーゾーンが曖昧な領域である

具体的な指摘箇所は避けるが、直接的指示の下であってもグレーゾーンな危うい手技をしている印象がある。海外では問題ないのであろうが日本では慎重になる必要がある。厚労省の判断などを仰いでも良いかもしれない。先進的な取り組みであるがその分リスクは大きい気がする。まぁここらへんはしっかり定めない厚生労働省にも原因がある。また、慣れていない医師よりよっぽど安全に出来たりする。だが慎重に議論する必要はありそうである。

精神的な負担

重症な患者や心臓外科は侵襲性やリスクの高い手術であるので、そこで働く診療看護師の精神的な負担も大きいだろう。上手く対処しているのだろうけど、管理人には耐えられないかも。リスペクトである

まとめ

心臓血管外科NPの働き方の想像がついたであろうか?入院から退院まで外来から手術室、ICU、病棟まですべての段階で関われるのが心臓外科NPの魅力かもしれない。働き方は確定していないので組織の需要に沿って自分の好きなように組み立てられるであろう。それもまた魅力である。

診療看護師の中でもさらに限られた領域に焦点を当ててみた。まだまだこれからな領域なので盛り上がることを期待している。

引用した資料はほとんどネットで閲覧可能なので是非確認をおすすめする。

また、本当に知りたければ当該施設へ是非足を運んでみるのが良いだろう。

気になるNPの給料事情についてはこちらから

NPを養成している大学院の一覧はこちらを参考に

参考文献

(1) 心臓血管外科におけるチーム医療医師の勤務環境改善策 第6回 東京ベイ・浦安市川医療センター  厚生労働省 医師の働き方改革に関する検討会 平成30年1月15日 URL

(2)藤田医科大学 心臓血管外科 ホームページ

(3)永谷ますみ, & 谷田真一. (2020). 心臓血管外科での特定行為研修修了者の活動. 心臓52(7), 687-692.

(4)酒井博崇,谷田真一(2017)診療看護師が関わる心臓血管外科の術前管理,日本NP学会誌vol.1,no.1,26-30

(5)安彦武, 工藤淳, 鈴木佑輔, & 齋木佳克. (2021). 心臓血管外科領域における診療看護師の現状. 日本心臓血管外科学会雑誌50(3), 214-216.

(6)牧野悟士, & 松山克彦. (2021). 愛知医科大学病院心臓外科における診療看護師の現状と課題について. 日本心臓血管外科学会雑誌50(5), 348-350.

(7)田端 実 (2017)「専門性の追求」のための取り組みについて – 厚生労働省 厚生労働省ビジョン検討会 東京ベイ浦安市川医療センター 心臓血管外科

(8)村上友悟, 三浦崇, 松丸一朗, 中路俊, 尾長谷喜久子, & 江石清行. (2021). 長崎大学病院心臓血管外科での診療看護師導入とその効果. 日本心臓血管外科学会雑誌50(4), 291-293.

日本心臓血管外科NPの会

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