日本看護協会が目指すナースプラクティショナー:NP(仮称)制度:診療看護師とNP

日本看護協会 ナースプラクティショナーNP関連論文
日本看護協会 ナースプラクティショナー
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2019年の7月に日本看護協会より
「NP教育課程修了者の活動成果に関するエビデンス構築パイロット事業」の報告書が公開された。資料1
NP制度化に向けての取り組みとしては非常に評価できると考える。今回は日本看護協会の目指すNPというものに触れようと思う。

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日本看護協会のナースプラクティショナー(NP=Nurse practitioner)の定義とはなにか?

資料2

ナース・プラクティショナー
米国等における医師の指示がなくとも一定レベルの診断や治療などを行うことができる公的資格。
(米国のNPを主にさしている。厳密にいうと米国は広いので州によって実践は違う)

ナース・プラクティショナー(仮称)
日本看護協会が制度構築を目指している米国等のような医師の指示がなくとも、一定レベルの診断や治療などを行うことができる新たな国家資格(現在の日本には存在しない)
米国と同じタイプのNPを目指している

米国ナースプラクティショナーについての歴史はこちらでまとめています。米国ナースプラクティショナーについて

NP 教育課程について
・NP 教育課程――2008 年に米国のナース・プラクティショナー教育を参考に設置された。2019 年 4 月時点で 10 校(課程)に上る。NP 教育課程は大学院修士課程に設置されており、フィジカルアセスメント・病態生理学・臨床薬理学などの科目を設け、対象者の身体状況を的確に把握し、診断や治療を提案するプロセスも学んでいる。
・NP 教育課程修了者――大学院の NP 教育課程を修了した現行法上の看護師。

NP教育課程の大学院はNP協議会で育成している大学院である。以下のリンクを参照されたし。加えてもう一校は別な組織が育成している(割愛する)
日本NP教育大学院協議会とは? – Up to date:診療看護師 Nurse Practitioner

 

ここで大事なことは特定行為研修や特定行為、特定看護師と言った単語は出てこない点である。この点でも日本看護協会のナースプラクティショナー(仮称)制度は看護師の特定行為とは別物である。
そして、NP協議会ではナースプラクティショナーに相当する民間資格として診療看護師を名乗っているが、こちらも特定行為を行う特定看護師とは別物であり、違う理念と概念を持っている資格と考えるべきである。そもそも特定行為は資格ではなく特定看護師という名称も正式では無いのだが、、、。

もう一度言う、ナースプラクティショナー≒診療看護師は特定看護師とは別物である。少なくとも看護協会の認識はそうだと上記の文脈から推察する。
これは現在の診療看護師に向けたものだが、診療看護師関連の研究をするのに特定行為の実施回数などを調査するのはナンセンスで無意味である。
それより患者のマネジメントをする際に、どこまで検査や治療、投薬を自律(医師の指示を受けないで)して行えたか?それが患者にとってどれだけ良い結果だったのか?を研究することの方が重要である。診療看護師は特定看護師とは少し違う存在であるからだ。

特定看護師の研究をしているのであれば問題はない。

日本版ナースプラクティショナーのエビデンス集

話をエビデンス集に戻す。
「NP教育課程修了者の活動成果に関するエビデンス構築パイロット事業」資料1
この報告書は日本版ナースプラクティショナーのエビデンス集であり、米国のNPなどもエビデンスを提示し発展して歴史がある。
1965年よりナースプラクティショナーの教育はは大学院で開始された。
そして、1970年代前半は医師対NPを比較する研究、つまり医師をNPに置き換えて患者のアウトカムを評価する研究が流行したようである。多くの比較試験はバイアスが含まれておりあまり質が高いとは言えない研究が多かったようだが、そこで医師と同等と言わないまでも患者のアウトカムは良好で安全だということが認知されてきた。⁽¹⁽²⁽³⁽⁴その後の発展は加速していったのである。

この日本のNPのエビデンス集は贔屓目に見てもデザインや統計処理、考察に問題があるものばかりであるが、初めのベースラインを示したことは非常に評価できると考える。このエビデンス集を参考にこれからも続々と改良された研究が生まれるだろう。
現在、米国ではNPは24万人まで増えている。AANP
米国NPの歴史を調べると、その発展の過程をややゆっくりであるが辿っていると私は推察している。
今後もより質の高いエビデンスの蓄積が望まれる。

内容は是非全文を参照されたし。
f:id:daishirono:20190731153429p:plain

厚生労働省への提言

またこの少し前に看護協会は厚生労働省「医師の働き方改革を進めるためのタスク・シフティングに関するヒアリング」(7月26日開催)の本会プレゼンテーション資料を公開も公開している。資料3
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f:id:daishirono:20190731154229p:plain

また日本救急医学会「医師の働き方改革」に対するステートメントでも診療看護師の推進が述べられている。(有難いことです)
日本救急医学会「医師の働き方改革」に対するステートメント ※リンクは切れたようです

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また、NP協議会は看護師が特定行為をこなうことにより一定の効果はあったが、それでも充足できていないニーズがあると考えている。
そのため、法改正も視野に入れたナースプラクティショナー制度の導入を日本看護協会・日本看護連盟・日本看護系大学協議会と連名で、自民党看護問題小委員会に2020年(令和2年)9月に要望書を提出している。資料

ナースプラクティショナー制度 要望書の内容

ナースプラクティショナー制度 要望書の内容

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まとめ

日本看護協会が目指しているナースプラクティショナーはNP協議会やJANPUが養成している大学院のNP課程の卒業生を米国のNPに近い日本版のナースプラクティショナーを国家資格などの公的な資格化しようとする動きである。

また、米国のNPの歴史はこちらのブログにとてもスマートに書かれています。診療看護師(NP)を目指す人は必読です

リファレンス

1)Sherry Greenberg, M. S. N. (Ed.). (2010). Nurse practitioners: The evolution and future of advanced practice.fifth edition Springer Publishing Company.
2)Bessman, A. N. (1974). Comparison of medical care in nurse clinician and physician clinics in medical school affiliated hospitals. Journal of Chronic Disease, 27, 115–125.
3)Heagarty, M. C., Boehringer, J. R., Lavigne, P. A., Brooks, E. G., & Evans, M. E. (1973).An evaluation of the activities of nurses and pediatricians in a university outpatient department. Journal of Pediatrics, 83(5), 875–879.
4)Russo, R. M., Gururaj, V. J., Bunye, A. S., Kim, Y. H., & Ner, S. (1975). Triage abilities of nurse practitioner vs. pediatrician. American Journal of Diseases of Children,129, 673–675.

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