周麻酔期看護師とは?PAN(perianesthesia nurse)について

周麻酔期看護師 PAN 手術看護診療看護師・特定看護師
周麻酔期看護師 PAN 手術看護
スポンサーリンク

今回は日本で養成されている周麻酔期看護師:PAN(perianesthesia nurse)について紹介する。

診療看護師ですらまだまだ認知されていないが、周麻酔期看護師はさらに認知されていない現状はあるだろう。

実際インターネットで探しても出てくる情報はかなり限られているのだが、分かった範囲で解説する

スポンサーリンク

周麻酔期看護師とは?PANとは?

周麻酔期看護師の定義は

「周麻酔期看護師」は, 周麻酔期における Care と Cure を統合 した看護実践, 教育, 相談, 調整, 研究, 倫理に関する看護 実践能力を持つ者であり, 周麻酔期の包括的な患者管理が 充実し, 患者の QOL 向上のために, 麻酔管理を安全に実践 できる看護師とする 資料1

とされている。しかしいまだ確立された定義はないようだ資料2

元々の周麻酔期看護師は海外の麻酔看護師(CRNA)を参考にした

PANは海外の麻酔看護師を参考にしたようである

米国では 1860 年代から麻酔管理を実施する麻酔看護師 (CRNA: Certified Registered Nurse Anesthetists)が活躍して おり、その定義は「患者を含む、認識されるすべてのレベルの 重症度にわたる個人のための広範囲の患者麻酔ケアおよび麻 酔関連ケアを提供する看護師」資料2
CRNA は米国独特の形態であり,隣国のカナダや英国, ドイツなどにもなく,世界的に例が多い訳ではない 資料3

また、

米国の CRNA が医師とは独立して,麻酔中の医療 をいわば医師の代わりに行うことを目指しているのに対して,本学の「周麻酔期看護師」は,看護師としての役割を基本にし,麻酔科専門医の指示で働くことは大きく異なるところである。 資料3

海外の麻酔看護師を参考に日本独自のCRNA≒周麻酔期看護師:PANだ。

周麻酔期看護師はどうやってなるの?

周麻酔期看護師(PAN)は養成課程のある大学院でなれる

周麻酔期看護師の教育は2010年に聖路加国際大学の大学院修士課程で開始となった。資料2
※なお残念ながら現在は聖路加では周麻酔期看護師の養成課程を中断?終了?しているようだ。

2年間教育で麻酔科で

現在(2021年9月)で確認出来る範囲では、おそらく

横浜市立大学
信州大学大学院
奈良県立医科大学大学院
国際医療福祉大学大学院
滋賀医科大学大学院

があるようだ。

ただこれらの注意点としては統一された組織ではないため、大学院によって養成課程がバラバラな可能性がある

統一された組織ではない?

診療看護師であれば日本NP教育大学院協議会という診療看護師を認定する機関であり、質の統一を図るために試験を行ったり、更新するいわば統括する組織、おおもとの組織が存在する。NP協議会について

養成大学院も登録され、公表しているため会員校の大学院ではある程度同一カリキュラムで質も一定と考えられるのだ。

周麻酔期看護師にはこういった機関や組織は存在しない、存在するのかもしれないが公表していない可能性がある。更新制であるかも不明であり、統一された認定試験なども無いようだ。

つまりそれぞれの大学院がバラバラに教育している印象である。学会は存在するのだが、、、。

周麻酔期看護師はどのような教育をするの?

2年間の大学院教育で学ぶことは

手術麻酔をかけることだけが目的でない周麻酔期看護師であるが,適切に麻酔科医を支援し,患者と情報が共有できるためにも,一般的な全身麻酔が行えるレベルの知識と技量は習得する必要がある。2年間の修士課程の中で,全身の身体状況の体系的な評価,特定の疾病の病態生理,麻酔に関わる臨床薬理学など,臨床看護師として習得の機会が少ない,麻酔に特化した深い学習の機会が与えられる。 資料3

麻酔科の実習などを通して一般的な全身麻酔が行えるレベルで実施するようだ。

こちらの資料も載せておく。聖路加の資料である。資料4

可能な手技としては挿管や抜管などはするようだ。
脊髄くも膜下麻酔や硬膜外麻酔、Aライン、CVライン、神経ブロックなどの手技はしない。

また奈良医科県立大学では 資料5 資料6

挿管やAライン、動脈血採血はするようだ。
多分CVは入れないのかな。

横浜市立大学の資料では挿管や抜管に加えて看護師の特定行為も行うようだ。資料7

周麻酔期看護師の実際の仕事は?業務は?

聖路加では術前、術中、術後までケアをする。資料4

また、横浜市立大学の資料では検査の代行オーダー、同意書の代行入力もこなすようだ。資料7

周麻酔期看護師は周術期のスペシャリストになれるのが最大のメリットであり魅力

この周術期に特化した教育と業務はまさにスペシャリストであろう。
周術期に関しては診療看護師よりも断然教育され質が高いことが推察される。手術室にいたら頼りになるだろう。

 

周麻酔期看護師の課題・懸念

いかがだったろうか?

周麻酔期看護師の教育内容や業務内容はある程度把握できたであろう。この内容に加え看護を載せていくと考えられる。

しかし、おすすめできるかと言えば、課題や懸念点もある

特定看護師や診療看護師と役割が重なる可能性

診療看護師も麻酔科に所属し実際に周麻酔期看護師と同様の業務を行っている場合がある。
周術期に特化して教育の質は上だろうけど。

特定行為研修を修了しない養成課程

看護師の特定行為研修に麻酔管理加算がついたのはご存知だろうか。資料8

つまり特定行為研修修了した看護師を配置すれば経営的にはメリットがある可能性が出てきたのだ。これからもさらに診療報酬が付くかもしれない。
周麻酔期看護師は特定行為研修をしている施設もあるようだが、例によって大学院教育はバラバラなのでやっていない施設もあるかもしれないのだ。

その際、特定行為研修を修了する特定看護師や診療看護師の方が採用されやすいかもしれない。

認知度が上がらない・広報がダメダメ

診療看護師(NP)は2008年から教育を開始し現在580名ほど資格保持者がいる。参考URL

周麻酔期看護師はNPより2年遅れて2010年から教育を開始したそうだが、現在30名程度ではなかろうか参考URL
参入している大学院も圧倒的にNPと比べると少ない。領域が狭いのもあるかもしれないが。

就職先が限定されている

就職先の情報が圧倒的にすくない現状もある。養成している大学院の付属病院くらいなようだ。そこで働くなら問題ないだろうが、他の施設を探すのはかなり根気がいる作業である。

スポンサーリンク

周麻酔期看護師の最大の問題点

これまでの懸念について述べてきたが、その根源的な問題は、、

周麻酔期看護師を統括する上部組織や機関がないことである。

周麻酔期看護師の上部機関や組織が無いことが、周麻酔期看護師の発展を妨げている可能性が高いと管理人は考えている。

どういったステイトメントなのかも大学院のサイトを見ても良く分からない。

役割もいくつかの和文論文があるだけである。質の担保を監督する組織がなく、更新制度でもない。資格は大学院独自で認定している可能性もある。

あるのかもしれないがそこらへんが全然見えない

とはいえまだまだ、これからな立ち位置であり個人的には応援している。看護師も多様性は必要であるし、需要があるなら入っていくのはありだろう。

これからのPANの発展を願っています!

上記の内容を踏まえた上で目指すことをお勧めします。

こちらのサイトは参考になりそうなので載せてい起きます。


もちろん診療看護師(NP)も良かったら目指してみて欲しい。

タイトルとURLをコピーしました