特定看護師と特定行為

診療看護師・特定看護師
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今回は特定看護師と特定行為について記述する。

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特定看護師という名称

まず他のページでも述べたが特定看護師という名称は正式な名称ではない。

日本看護協会では特定看護師の説明を以下の様にしている。

法律上、「特定看護師」という資格はありません。
2011年に取りまとめられたチーム医療の推進に関する検討会報告書「チーム医療の推進について」において、「特定看護師(仮称)」の提案がされましたが、その後の議論を経て創設された「特定行為に係る看護師の研修制度」はあくまで研修制度であり、新たな資格をつくる制度ではありません。
しかし、特定行為に係る看護師の研修制度の普及・活用にあたっては、「特定行為研修を修了した看護師」を略して「特定看護師」と呼称することは問題ありません(「特定行為に係る看護師の研修制度」よくあるご質問 | 日本看護協会

つまり特定行為研修を修了した看護師を特定看護師と呼んでいるのが現状である。そのため、診療看護師(NP)も基本的には特定行為を修了するため、広義的に特定看護師と言えるのである。私は診療看護師=特定看護師の能力に加え+αな要素を兼ね備えた存在だと認識している。(むしろNPは+αの部分の能力が特に重要だと考える)

特定行為とは?

では特定行為とはどの様なものであるか。特定行為とは 特定行為は、診療の補助であり、看護師が手順書により行う場合には、実践的な理解力、思考力及び判断力並びに高度かつ専門的な知識及び技能が特に必要とされる次の38行為です特定行為とは |厚生労働省

具体的には以下の21区分の中の38行為の事を指す特定行為区分とは |厚生労働省

特定行為区分の名称(21区分)

特定行為(38行為)

呼吸器(気道確保に係るもの)関連

経口用気管チューブ又は経鼻用気管チューブの位置の調整

呼吸器(人工呼吸療法に係るもの)関連

侵襲的陽圧換気の設定の変更

非侵襲的陽圧換気の設定の変更

人工呼吸管理がなされている者に対する鎮静薬の投与量の調整

人工呼吸器からの離脱

呼吸器(長期呼吸療法に係るもの)関連

気管カニューレの交換

循環器関連

一時的ペースメーカの操作及び管理

一時的ペースメーカリードの抜去

経皮的心肺補助装置の操作及び管理

大動脈内バルーンパンピングからの離脱を行うときの補助の頻度の調整

心 のう ドレーン管理関連

心 のう ドレーンの抜去

胸腔ドレーン管理関連

低圧胸腔内持続吸引器の吸引圧の設定及びその変更

胸腔ドレーンの抜去

腹腔ドレーン管理関連

腹腔ドレーンの抜去(腹腔内に留置された 穿せん 刺針の抜針を含む。)

ろう孔管理関連

胃ろうカテーテル若しくは腸ろうカテーテル又は胃ろうボタンの交換

膀胱ろうカテーテルの交換

栄養に係るカテーテル管理(中心静脈カテーテル管理)関連

中心静脈カテーテルの抜去

栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連

末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入

創傷管理関連

じょく そう 又は慢性創傷の治療における血流のない壊死組織の除去

創傷に対する陰圧閉鎖療法

創部ドレーン管理関連

創部ドレーンの抜去

動脈血液ガス分析関連

直接動脈 穿せん 刺法による採血

とう 骨動脈ラインの確保

透析管理関連

急性血液浄化療法における血液透析器又は血液透析  過器の操作及び管理

栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連

持続点滴中の高カロリー輸液の投与量の調整

脱水症状に対する輸液による補正

感染に係る薬剤投与関連

感染徴候がある者に対する薬剤の臨時の投与

血糖コントロールに係る薬剤投与関連

インスリンの投与量の調整

術後 とう 痛管理関連

硬膜外カテーテルによる鎮痛剤の投与及び投与量の調整

循環動態に係る薬剤投与関連

持続点滴中のカテコラミンの投与量の調整

持続点滴中のナトリウム、カリウム又はクロールの投与量の調整

持続点滴中の降圧剤の投与量の調整

持続点滴中の糖質輸液又は電解質輸液の投与量の調整

持続点滴中の利尿剤の投与量の調整

精神及び神経症状に係る薬剤投与関連

抗けいれん剤の臨時の投与

抗精神病薬の臨時の投与

抗不安薬の臨時の投与

皮膚損傷に係る薬剤投与関連

抗癌剤その他の薬剤が血管外に漏出したときのステロイド薬の局所注射及び投与量の調整

特定行為に関する経緯は以下の様である。元看護協会会長により(資料1)

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約3年半の議論を得て創設されたのである。その元になった厚労省のチーム医療の推進に関する検討会にて多職種(看護師、薬剤師等含めた)の裁量拡大が話し合われ、NPやPA等の話題も出てきている

チーム医療の推進に関する検討会 |厚生労働省

その後チーム医療推進会議では医行為の分類や看護師の裁量権拡大と特定行為について話し合われた様である

チーム医療推進会議 |厚生労働省

チーム医療推進会議で興味深いことに、日本医師会による医師・看護師約7000人への調査内容である。それは現在は、特定行為に指定されている医行為や挿管、CV挿入等の医行為を少数ながら実施している看護師が既に存在しているのである。(資料2

ともあれこのような会議と議論の末に平成27年(2015年)3月13日保健師助産師看護師法第三十七条の二第二項第一号に規定する特定行為及び同項第四号に規定する特定行為研修に関する省令(厚生労働省省令33号)の交付を受けて試行されたのである。

これも医療の高度化や医師不足などにより議論されてきた要素も大きいと考えらえるが期待として以下の様な事が言われている。

訪問看護において―患者の希望に沿う在宅療養の継続

  •  医学的視点を含めたより深いアセスメントが可能となり、重症化、重度化を予防
  •  異常の早期発見・早期介入により、緊急搬送を減少
  •  手順書によるタイムリーな介入ができ、外来受診等による患者負担を減少

介護福祉施設において―利用者の希望に沿う生活の実現

  •  きめ細かい利用者の病状の把握・管理により、緊急搬送・入院件数が減少
  •  生活や社会的背景を考慮した治療の提案・実施による利用者・家族の負担の軽減

外来において―患者の生活に合わせた治療による病状の改善

  •  生活習慣病患者の生活や社会的背景を考慮した治療の提案・実施で病状の改善
  •  治療および生活指導が一度に可能となり、外来待ち時間の減少

以上を踏まえ興味がある方は目指してみても良いのかもしれない。受講資格やどこで研修を受けられるかは文字数が多くなったため別なページで説明したい。

↓こちらのページです。

Reference

「特定行為に係る看護師の研修制度」の活用促進と諸課題対策 | 日本看護協会

特定行為に係る看護師の研修制度 |厚生労働省

チーム医療の推進に関する検討会 |厚生労働省

チーム医療推進会議 |厚生労働省

日本医師会.日本医師会調査「看護職員が行う医行為の範囲に関する調査」結果 平成22年10月: http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000000vh2d-att/2r9852000000vh60.pdf

 

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