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「先輩の言う通りやってたのに…泣」ICU看護師の褥瘡予防知識テストが平均4割未満の衝撃と経験年数のリアル【2024年論文】

看護技術・看護関連
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「先輩、2時間経ったんで右向きから左向きに変えておきましたー!」

日勤の重症ベッドサイドや夜勤のラウンド中、時計の針を気にしながら体位変換に走り回るの、ガチで看護師あるあるですよね。背上げ角度を戻したか不安になってナースステーションから小走りで確認しに行ったり、オムツ交換のついでにクッションを差し込んで「これでひとまず除圧できたはず!」と自分に言い聞かせる瞬間、現場の仲間なら誰でも身に覚えがあると思います。

でもさ、うちらが日々当たり前にやってる褥瘡予防って、本当にガイドライン通りのエビデンスで動けてると思います?

「自分はもう3年目だし、褥瘡予防くらい普通に分かってるでしょ」って思っている人でも、急に抜き打ちテストされたら満点を取れるか怪しくね?って気になりません?

これって🦐えび🦐あるの?ICU看護師の知識テストや経験年数、男女差を調べた研究を見ていきましょう!

褥瘡予防に関する看護師の知識や実践は、経験年数や性別によって違いがあるのか?

簡単なまとめ: ICUや病棟看護師を対象とした近年の研究では、褥瘡予防知識の平均正答率が約39〜42%と合格基準(60%)を下回っており、特に予防策そのものの知識が低かった。経験年数との関連では、新卒1年目以内は知識や実践が不足しやすい一方、単に年数を重ねた中堅やベテランでも自動的に知識が更新されるわけではない。性別による差は研究ごとに結果が分かれ、男性看護師の回答数が少ない限界もあるため、性別そのものよりも施設での継続研修やガイドラインへのアクセスが実践を左右する。

出典: Khojastehfarら 2020、Guerreroら 2023、Klaasら 2024、Li・Luら 2025

年数だけでは更新されない
年数だけでは更新されない

正答率4割未満?ICU看護師の知識テストが予想以上に厳しい結果だった件

まず、集中治療室で働く看護師たちが実際にどれくらい褥瘡予防の知識を持っているのか、国際的な調査データから確認していきましょう。

サウジアラビアの三次病院4施設で働くICU看護師320人を対象に調査した、ゲレロさんたちの2023年の多施設研究があります (1)。使われたのは「PUKAT 2.0」という全25問のテストで、国際ガイドラインに準拠した知識評価ツールです。テストの合格ラインは60%と定められています。

で、そのテスト結果の平均スコアがどうだったかというと……

ICU看護師の全体知識スコア平均: 39.55% (100点換算)

なんと4割にも届いていませんでした (1)。合格基準の60%を下回っているどころか、赤点ラインまっしぐらの厳しい点数です。

しかも、分野別の内訳を見るとさらに生々しい実態が分かります。

  • 褥瘡ができる原因(病因): 62.81%
  • 分類と観察(ステージ判定): 50.86%
  • 栄養管理: 46.04%
  • リスクアセスメント: 31.19%
  • 予防策そのもの: 22.36%
  • 特定の患者集団へのケア: 14.84%

褥瘡ができる原因についての知識は6割を超えているのに、一番現場で手を動かす「予防策」の正答率が 22.36% しかないって、なかなか衝撃的じゃないですか?

南アフリカの大学病院ICUで働く看護師101人を調査したクラースさんたちの2024年の研究でも、平均スコアは 42.16% で、やはり「予防策」の分野が 25.0% と最低水準に落ち込んでいました (2)。

Guerreroら 2023(ICU看護師320人)/Klaasら 2024(ICU看護師101人)。PUKAT知識正答率の数字を表に整理しました。

項目 結果
Guerrero 2023・全体平均 39.55%(合格基準60%)
病因 62.81%
ステージ判定 50.86%
栄養管理 46.04%
リスクアセスメント 31.19%
予防策 22.36%
特定の患者集団へのケア 14.84%
Klaas 2024・全体平均 42.16%
Klaas 2024・予防策 25.0%

うーむ、毎日患者さんの背中をめくって体位を変えているうちらが、肝心の予防策で4問に1問しか正解できてないって、現場感覚としてはかなりヒヤッとしますよね。

先輩から「このクッションの当て方、これで合ってる?」って急に聞かれて、とりあえず「バッチリです!」って元気よく答えたものの、心の中では(あれ、踵ってシーツに触れないように浮かせるんだっけ…?それとも専用枕いるんだっけ…?)って冷や汗をかいて、ナースコールが鳴った瞬間にホッとして駆け出すやつ。知識があやふやなまま体だけ動かしている怖さ、身に沁みます。

経験を積めば安心?年数と知識の意外なリアル

経験年数だけでは知識は自動更新されない(概念)
経験年数だけでは知識は自動更新されない(概念)

「でもさ、それって新人ナースが多いから平均点が下がってるだけなんじゃないの?経験を積んだベテランなら余裕でしょ!」って思いますよね。

ところが、経験年数と知識の関係は単純な右肩上がりではありませんでした。

イランの大学病院ICU看護師308人を調査したホジャステファルさんたちの2020年の多施設研究を見てみましょう (3)。この調査では知識だけでなく、予防に対する「態度」や日頃の「実践」も点数化して分析しています。

その結果、知識・態度・実践の間にはきちんとした正の相関関係がありました。そして経験年数との関連を見ると、ICUでの経験年数が1年増えるごとに知識スコアは 0.051単位 ずつ上がり、年齢が1歳上がるごとに実践スコアも 0.162単位 ずつ上がっていました (3)。

これだけを見ると、「やっぱり年数を重ねて場数を踏めば、知識もケアの実践も自然とレベルアップしていくんだ!」と安心したくなりますよね。

だけど、、、南アフリカの2024年の調査では、もう少し入り組んだ現実が浮かび上がっていました (2)。

この研究で単純な未調整の比較を行うと、経験2〜5年の看護師は経験6〜10年の層に比べて知識スコアが高い傾向が出ていました(未調整の回帰係数 6.38 、95%信頼区間 0.33〜12.41、p = 0.039) (2)。

「お、2〜5年目の若手から中堅の方が、勉強熱心で点数が高いってこと?」と思いきや、他の背景要因を揃えた多変量解析で調整すると、この差は係数 2.89 (95%信頼区間 −3.41〜9.18、p = 0.365)となり、統計的な有意差はなくなっていました。

一方で、調整後もしっかり有意な差として残っていたのは、経験6か月〜1年の新人ナースが、経験6〜10年の中堅層よりも知識スコアが低い という結果です(調整後の回帰係数 −10.71 、p = 0.008) (2)。

新卒1年目くらいまでは、日々の業務の流れを覚えるだけで手一杯で、病態生理や改訂された予防ガイドラインまで頭が回らないのは無理もありません。ただ、2〜5年目で一通りのルーチンに慣れた後、中堅やベテランになっていく過程で、自然に知識が更新され続けるわけではない点にも注意が必要です。

実際、中国の広西チワン族自治区で多階層の病院看護師17,253人を対象に行われたリーさんやルーさんたちの2025年の大規模研究でも (4)、経験年数1年以下の新人ナースは、知識・態度・実践がバランス良く高いグループと比べて、すべてが不足している低レベル群に入るオッズ比が 3.128倍 (95%信頼区間 1.602〜6.109)と明らかに高くなっていました。

この調査はICUに限らず一般病棟なども含めた病院全体の看護師を対象にしたものですが、新人の時期に知識や実践が追いつかないのは共通の課題です。そして年数を重ねたからといって、「昔病棟の先輩に教わったやり方」のまま何年もアップデートが止まってしまう落とし穴もあるわけで、年数だけを過信するのは危ないんですよね。

Klaasら 2024(経験年数と知識)/Li・Luら 2025(≤1年)。出典の数字を表に整理しました。

比較 係数 / OR p / 注
Klaas・未調整 2〜5年 vs 6〜10年 β 6.38(95%CI 0.33〜12.41) p = 0.039
Klaas・調整後 2〜5年 vs 6〜10年 β 2.89(95%CI −3.41〜9.18) p = 0.365(有意差なし)
Klaas・調整後 6か月〜1年 vs 6〜10年 β −10.71 p = 0.008
Li・Lu 2025・経験≤1年(低レベル群) OR 3.128(95%CI 1.602〜6.109) n = 17,253

看護師の性別で差はあるの?男女差のホントのところ

もう一つ気になるのが、「性別によって知識や態度に違いがあるのか?」という疑問です。

ホジャステファルさんたちの2020年の研究では、女性看護師の方が男性看護師に比べて知識スコアが 3.132単位 、態度スコアが 1.65単位 高いという結果が出ていました (3)。女性ナースの方が皮膚の観察や日々のスキンケアに関心を向けやすい、といった考察もされています。

「やっぱり女性ナースの方が細かいところに気がつくのかな?」と思いきや、話はそう単純に決着しません。

先ほどの南アフリカの2024年の研究では、多変量解析の表を見ると、男性看護師(女性を参照)の調整後回帰係数は 1.55 (95%信頼区間 1.22〜1.97、p = 0.014)となっており、むしろ男性の方が知識スコアが高い傾向が示されていました (2)。

ただし、この調査に含まれていた男性看護師は101人中わずか 11人 (約11%)に過ぎません。論文の著者たち自身も、男性のサンプル数がかなり少ないため、この差をそのまま一般化するには慎重であるべきだと留保をつけています。

さらに、サウジアラビアのゲレロさんたちの2023年研究では、全体の知識スコアや予防策のスコアには男女差が全く見られず、「特定の患者集団へのケア」の項目でのみわずかな差があった程度でした (1)。

ふーむ。研究によって女性が高かったり、男性が高かったり、あるいは差がなかったり、結果はまちまちなんですよね。

つまり、「男だから」「女だから」といった性別の先入観よりも、日頃からガイドラインを読む機会があるか、院内の褥瘡研修や勉強会に参加できているかといった学習環境の方がはるかに大きく影響しています。「自分は男だからスキンケア系はちょっと…」なんて言い訳は、エビデンスの前では全く通りません。

Khojastehfarら 2020/Klaasら 2024/Guerreroら 2023(性別と知識・態度)。出典の数字を表に整理しました。

出典 項目 結果
Khojastehfar 2020 知識(女性>男性) +3.132単位
Khojastehfar 2020 態度(女性>男性) +1.65単位
Klaas 2024 男性(調整後・女性参照) β 1.55(95%CI 1.22〜1.97、p = 0.014)※男性 n = 11/101
Guerrero 2023 全体・予防策の男女差 有意差なし(特定集団のみわずかな差)
チーム教育サイクル(性別より研修・手順へのアクセス)
チーム教育サイクル(性別より研修・手順へのアクセス)

限界点も知っておこう

今回の研究結果を受け止めるにあたって、いくつか知っておくべき研究上の限界もあります。

まず、紹介した研究の多くは質問紙を用いた横断研究(アンケート調査)です。筆記テストの点数が高かった看護師が、現場で実際に患者さんの褥瘡発生率をどれくらい減らせたかという直接の臨床アウトカムまでは追えていません。

また、日頃の実践についての調査は自記式質問紙によるものが多いため、「実際よりも少し真面目なケアをしているように答えてしまう」という心理(社会的望ましさバイアス)が混ざりやすい点も考慮が必要です。

さらに、調査が行われた国(サウジアラビア、南アフリカ、イラン、中国など)の医療体制、ICUや一般病棟の看護師配置基準、配備されているエアマットやドレッシング材の種類、使われている評価指標(ブレーデンスケールやウォータロウスケールなど)は日本の病院環境と全く同じではありません。南アフリカの研究のように、特定のグループの人数が少なくて慎重な解釈が必要なデータも含まれています。

だからこそ、海外の数字をそのまま受け止める前に、「自施設の褥瘡対策マニュアルはどうなっているか」「病棟で使っている体圧分散マットレスの性能や設定基準はどうなっているか」と、足元の環境を確認する姿勢が大切です。

今後どうしていくべきなの?

知識リフレッシュの流れ(手順→研修→実践→振り返り)
知識リフレッシュの流れ(手順→研修→実践→振り返り)

では、日々のベッドサイドでうちらはどう動いていけばいいのでしょうか。明日からの勤務ですぐに意識できる具体的なポイントを整理しました。

  1. 「昔の当たり前」を定期的に見直す かつて良しとされていた「骨突出部を手のひらでゴシゴシ揉むマッサージ」や「ドーナツ型円座クッションの使用」は、組織の血流をかえって悪化させることが分かっており、現代のガイドラインでは明確に否定されています。もし病棟の棚に円座が転がっていたら、即座に封印するのが正解です。
  1. 体位変換を一律のルーチン作業にしない 2時間ごとの体位変換は基本ですが、患者さんの体圧分散マットレスの性能や自力での体動レベル、皮膚の脆弱さに合わせて柔軟にプランを立てることが推奨されます。人工呼吸器管理中などハイリスクな患者さんには、局所の除圧やハイドロコロイドドレッシング材の併用も有効な選択肢です。詳しいドレッシングの使い分けについては、ICUでの褥瘡予防ドレッシング の記事も参考にしてみてください。
  1. 実技を交えたシミュレーションで身につける 机の上のマニュアル読みだけでなく、同僚と一緒にクッションの差し込み角度や仙骨部の観察手技を実際にベッド上でやってみるシミュレーション研修が、知識と実践の定着に有効だと論文でも強調されています。病棟のちょっとしたカンファレンスで、お互いに体位変換を試してみるだけでも大きな学びになります。

✔まとめ

  • ✔ ICU看護師でも褥瘡予防の知識テスト平均は約39〜42% と合格基準に届いておらず、特に具体的な予防策の知識が不足している
  • ✔ 経験年数が長いから安心とは言えない 。1年未満の知識不足はもちろん、中堅やベテランでも知識が更新されずに昔のやり方のまま止まるリスクがある
  • ✔ 性別による決定的な差はない 。研究ごとに結果は分かれており、性別そのものよりも施設での継続研修やガイドラインへのアクセスがケアの質を左右する

個人的には、日勤も夜勤もバタバタしてると「いつもの角度でクッション挟んだからヨシ!」って流しちゃいそうになるけど、自分の知識が数年前の記憶のままで止まってないか、たまには立ち止まってアップデートしていきたいですね。

よくある質問

褥瘡予防に関する看護師の知識や実践は、経験年数や性別によって違いがあるのか?

ICUや病棟看護師を対象とした近年の研究では、褥瘡予防知識の平均正答率が約39〜42%と合格基準(60%)を下回っており、特に予防策そのものの知識が低かった。経験年数との関連では、新卒1年目以内は知識や実践が不足しやすい一方、単に年数を重ねた中堅やベテランでも自動的に知識が更新されるわけではない。性別による差は研究ごとに結果が分かれ、男性看護師の回答数が少ない限界もあるため、性別そのものよりも施設での継続研修やガイドラインへのアクセスが実践を左右する。

褥瘡予防の知識で看護師が最も間違えやすいポイントは何ですか?

研究データを見ると、褥瘡ができる原因や病態の理解に比べて「具体的な予防介入の手順」に関する正答率は20%台にとどまっています。例えば、骨突出部への強いマッサージや円座クッションの使用など、現在では皮膚組織を傷つけるとして非推奨・禁止されている古い手技を誤って認識しているケースが少なくありません。

経験年数を重ねるほど、昔覚えたケアのやり方で足りている気になりがちです。ガイドラインが改訂されても、日々の業務に追われるなかでは、予防や管理の知識を学び直すタイミングを逃してしまう場面も少なくありません。

褥瘡予防や管理の知識をガイドライン第5版準拠で手元更新する机上リファレンスとして、一般社団法人 日本褥瘡学会(編)『褥瘡ガイドブック 第3版: 褥瘡予防・管理ガイドライン(第5版)準拠』(照林社、2023年)があります。日頃のケアの疑問を落ち着いて確認し直す補助になります。

もちろん、読めば褥瘡予防がうまくいくわけでも、知識が必ず身につくわけでもありません。ベッドサイドの判断では、施設の手順、一次エビデンス、医師指示が最優先であり、本はあくまで補助にすぎません。手元の調べものとして、必要に応じて役立ててみてください。

手順と研修が上位
手順と研修が上位

参考文献

(1) Guerrero, J. G., Mohammed, H., & Aljarrah, I. (2023). A Multicenter Assessment of Nurses’ Knowledge Regarding Pressure Ulcer Prevention in Intensive Care Units Utilizing the PUKAT 2.0. SAGE Open Nursing, 9, 23779608231177790. https://doi.org/10.1177/23779608231177790

(2) Klaas, N. L., & Serebro, N. (2024). Intensive care nurses’ knowledge of pressure injury prevention. BMC Nursing, 23(1), 876. https://doi.org/10.1186/s12912-024-02533-4

(3) Khojastehfar, S., Najafi Ghezeljeh, T., & Haghani, S. (2020). Factors related to knowledge, attitude, and practice of nurses in intensive care unit in the area of pressure ulcer prevention: A multicenter study. Journal of Tissue Viability, 29(2), 76–81. https://doi.org/10.1016/j.jtv.2020.02.002

(4) Li, C., Lu, X., Zhang, L., et al. (2025). Latent profile analysis of nurses’ knowledge, attitudes, and practices regarding pressure injury prevention: a multicenter large-sample study. BMC Nursing, 24(1), 1213. https://doi.org/10.1186/s12912-025-03875-3

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