超音波VS近赤外線光:困難な末梢血管アクセスの戦略

看護技術・看護関連
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末梢血管アクセスの困難性とは?標準技術の限界

医療現場における末梢静脈カテーテル(PIVC)の挿入は、特に困難な血管アクセス(DVA)を持つ患者にとって、重要なプロセスです。

このブロックでは、なぜ末梢血管アクセスが困難なのか、その原因や背景について詳しく掘り下げます。加えて、従来の標準技術にはどのような限界があるのかを考察し、医療従事者が直面する挑戦を浮き彫りにします。

DVAの患者は、年齢、肥満、脱水、静脈の見えにくさなど多様な要因により、通常の血管アクセス技術では挿管が困難なことが多いです。これにより、患者に不必要な苦痛を与え、治療への遅延や、感染のリスクを高める可能性があります。

標準的な手法では、肉眼で静脈を探し、手触りや経験に頼ってカテーテルを挿入します。しかし、この方法はDVAの患者には不十分で、成功率を低下させる要因となり得ます。こうした背景を踏まえ、より高度な技術が求められているのです。

超音波(USG)の利点と実践方法

今、医療現場で注目されているのが、超音波(USG)を用いた血管アクセス技術です。このブロックでは、USGの利点と実践方法に焦点を当て、どのようにして末梢血管アクセスの成功率を向上させるかを掘り下げます。

USGはリアルタイムで血管の位置を視覚化することが可能で、これにより、看護師や医師は血管を正確に特定し、安全かつ迅速にカテーテルを挿入することができます。特にDVAの患者において、この技術は成功率を高め、患者の苦痛を軽減し、処置時間の短縮に貢献します。

実践方法としては、USG装置を使用して血管の位置を確認し、適切な角度で針を挿入する技術が求められます。この方法は、従来の技術と比較してより高度なスキルが必要ですが、研修や実践を通じて習得することができます。

近赤外線光(NIR)の効果とその限界

近赤外線光(NIR)技術は、血管を視覚化するもう一つの方法です。このブロックでは、NIR技術の基本原理、効果、そしてその使用時の限界について解説します。

NIRは血管の下を透過する特殊な光を使用し、肌の下の静脈をより見やすくします。これにより、特に表面近くの静脈が見えにくい患者において、血管の特定が容易になると期待されています。しかしながら、この研究では、NIR技術が大人のDVA患者において特に有益な結果をもたらさないことが示されました。

限界として、NIRは静脈の深さや太さによっては効果が限定的であり、また、装置の扱いに習熟が必要とされる点が挙げられます。このような背景を踏まえて、NIRの有効性についてさらなる研究が求められています。

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超音波と近赤外線光の比較:どちらが優れているか

困難な末梢血管アクセスにおいて、超音波(USG)と近赤外線光(NIR)のどちらがより効果的なのかを比較検証した研究を紹介します。

研究では、270人の患者を評価し、USG、標準、NIRの静脈路確保の初回試行成功率はそれぞれ78.9%、62.2%、58.9%でした。USGを使用した患者の方が成功率が高く、手順時間が長かったことが観察されました。

USGは初回試行の成功率が標準技術やNIRよりも高く、特に困難な血管アクセスのある患者において優れた成果を示しました。

一方で、USGは手順時間が長いという欠点もありますが、これは適切な研修と実践を通じて改善される可能性があります。

一方、NIRに関しては、本研究では大人のDVA患者において特に利点が見られなかったことが示されています。これは、NIR技術がすべての患者に有効ではないことを意味します。

参考文献

Yalçınlı S, Karbek Akarca F, Can Ö, Uz İ, Konakçı G. Comparison of Standard Technique, Ultrasonography, and Near-Infrared Light in Difficult Peripheral Vascular Access: A Randomized Controlled Trial. Prehosp Disaster Med. 2022;37(1):65-70. doi:10.1017/S1049023X21001217

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