「ちょっと熱っぽいけど、今日休んだら誰がカバーするの…?」
「昨日から頭痛いけど、有休もう残ってないし…」
「体調悪いって言ったら、また嫌な顔されるんだろうな…」
こんな経験、看護師界隈ではマジで日常茶飯事じゃないですか?
体調悪いのに出勤する。これ、実は 「プレゼンティーイズム(Presenteeism)」 っていう立派な(?)名前がついてるんです。日本語だと「疾病就業」とか「隠れ欠勤」なんて呼ばれることも。
で、このプレゼンティーイズム、看護師にめちゃくちゃ多いらしいんですよ。
これって🦐えび🦐あるの?2025年の論文を見ていきましょう!
動画解説
プレゼンティーイズムとは?
まず、プレゼンティーイズムってなんぞや?って話から。
プレゼンティーイズム(Presenteeism) とは、身体的・精神的に不調なのに、本来休むべき状態にもかかわらず様々な理由で出勤してしまう現象のこと (1)
つまり、「病気なのに仕事に行っちゃう」ってやつです。
「いやいや、それ普通じゃん?」って思った人、それがもうプレゼンティーイズムに染まってる証拠かも…。
ちなみに、プレゼンティーイズムの研究には2つの流れがあって:
- ヨーロッパ的アプローチ :なぜ病気でも出勤するのか?その行動と結果に注目
- アメリカ的アプローチ :病気で出勤することで失われる生産性に注目
最近の研究では、生産性の低下はプレゼンティーイズムの「結果」として捉える のが主流になってきてるみたい (1)。
看護師の65%が高レベルのプレゼンティーイズムという衝撃
2025年の中国での大規模調査
2025年にBMC Nursingに発表されたLiらの研究では、中国の37病院で働く 1,647人の看護師 を対象に調査が行われました (1)。
※この研究は中国の看護師を対象としたものなので、日本の状況と完全に一致するわけではない点には注意が必要です。ただし、世界的なメタ分析でも同様の傾向が示されています。
結果がこちら:
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| プレゼンティーイズムの平均スコア | 17.01 ± 5.10(30点満点) |
| 高レベルのプレゼンティーイズムを示した割合 | 65.5% |
えぐくないですか? 約3人に2人の看護師が、高レベルで体調不良出勤をしている ってことですよ。
世界的に見ても看護師はヤバい
2022年のメタ分析では、世界14カ国28研究を分析した結果、看護師のプレゼンティーイズムの 世界的な有病率は49.2% と報告されています (2)。
でもこれ、研究によってかなり幅があって、 32%〜94% と報告されてるんですよね (2)。
さらに衝撃的なのが、看護師のプレゼンティーイズム発生率は、他の職種の3〜4倍も高い っていうデータ (1)。
なぜ看護師は特に多いのか?
看護師がプレゼンティーイズムになりやすい理由として、研究では以下が挙げられています:
- ✔ 長時間労働 :夜勤、残業、変則勤務
- ✔ 高い業務量 :慢性的な人手不足
- ✔ 感情労働の負担 :患者さんへの共感、ケア
- ✔ 代替不可能性 :「自分がいないと回らない」感覚
- ✔ 患者さんへの直接的な影響 :休むと患者ケアに支障が出る
なぜ看護師は体調不良でも出勤してしまうのか
主な理由ランキング
2021年のShanらの研究では、看護師がプレゼンティーイズムをする理由を調査しています (3)。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 業務量の問題(人がいない、代わりがいない) | 63.64% |
| 休暇制度の問題(有休が足りない、使いにくい) | 63.46% |
| 責任感・義務感(同僚や患者さんに申し訳ない) | 59.10% |
| 経済的な理由(休むと給料が減る) | 52.04% |
| 組織的な要因(休みにくい雰囲気) | 51.44% |
うーむ、「人がいない」と「有休が足りない」がツートップって、構造的な問題すぎる…。
仕事から離れられない「心理的デタッチメント」の問題
2025年の研究で面白い発見があって、「心理的デタッチメント」とプレゼンティーイズムには負の相関がある ことが分かったんです (1)。
心理的デタッチメントっていうのは、勤務時間外に仕事のことを考えない能力 のこと。
つまり:
- 仕事から心理的に離れられる人 → プレゼンティーイズムが低い
- 休みでも仕事のことが頭から離れない人 → プレゼンティーイズムが高い
これ、看護師あるあるじゃないですか?
「家に帰っても患者さんのこと考えちゃう」「次の日の申し送りが気になって眠れない」とか。
研究では、この心理的デタッチメントができないと、心身の回復ができず、結果として体調不良でも出勤してしまう…という悪循環に陥るとされています (1)。
プレゼンティーイズムが高い人の特徴
研究から分かったプレゼンティーイズムが高くなりやすい要因:
個人的要因
- 45歳以上の年齢層
- 慢性疾患を抱えている(腰痛、高血圧、精神疾患など)
- 子どもがいる(特に女性)
- 勤続年数が長い
職場環境要因
- 救急・ICU・手術室などの高ストレス部署
- 権威主義的なリーダーシップの存在
- チームの雰囲気が悪い
- 給与と仕事量のバランスが取れていない
プレゼンティーイズムが引き起こす悪影響
「まぁ体調悪くても仕事できてるならいいじゃん」って思うかもしれないけど、プレゼンティーイズムって実はめちゃくちゃヤバい影響があるんです。
看護師自身への影響
身体的な影響
- 疲労の蓄積
- 筋骨格系の問題の悪化(腰痛とか)
- 既存の健康問題の深刻化
精神的な影響
- バーンアウト(燃え尽き症候群)のリスク増加
- 情緒的消耗との正の相関(r = 0.31)(4)
- うつ、不安症状の増加
研究では、プレゼンティーイズムがバーンアウトを引き起こし、バーンアウトがさらにプレゼンティーイズムを増加させる という悪循環が示されています (2)。
これ、完全に負のスパイラルじゃないですか…。
患者さんへの影響
プレゼンティーイズムは患者安全にも関係してて:
- ✔ 転倒・転落のリスク増加
- ✔ 投薬エラーの増加
- ✔ 患者安全文化の低下
- ✔ ケアの質の低下
体調悪いと集中力も判断力も落ちるから、当然といえば当然…。
組織への経済的影響
実はプレゼンティーイズムって、欠勤よりも経済損失がデカいんです。
2022年の統合レビューによると:
- プレゼンティーイズムを報告した看護師1人あたり、年間 USD 14,439〜22,237(約220万〜340万円)の損失 (2)
- プレゼンティーイズムによる経済損失は、欠勤による損失の4倍 という報告も (1)
さらに、体調不良で出勤すると 平均で作業効率が74.08%に低下する ことも分かってます (3)。
つまり、無理して出勤しても4分の1は無駄になってるってこと…。しゃばいですよね。
結論
まとめ
✔ 看護師の約65%が高レベルのプレゼンティーイズム を経験している(2025年研究)
✔ 看護師のプレゼンティーイズム発生率は他職種の3〜4倍 と圧倒的に高い
✔ 主な原因は 人手不足、休暇制度の問題、責任感 など構造的な問題
✔ 心理的デタッチメント (仕事から離れる能力)が低いとリスク増加
✔ プレゼンティーイズムは バーンアウト、患者安全の低下、年間200万円以上の経済損失 につながる
✔ 欠勤よりもプレゼンティーイズムの方が損失が大きい という研究結果も
個人的な感想
正直、この研究読んで「うわぁ…めっちゃわかりみが深い…」ってなりました。
看護師って、どうしても「休んだら迷惑かける」「患者さんに申し訳ない」って思っちゃうじゃないですか。でも、研究が示してるのは 「無理して出勤する方が、結果的にみんなに迷惑かける」 ってこと。
体調悪い状態で働いても効率は25%落ちるし、ミスのリスクも上がるし、最終的には自分がバーンアウトして離職…ってなったら、それこそ周りへの負担マックスですよね。
研究でも言われてるけど、これって個人の問題じゃなくて 組織・制度の問題 なんですよ。
「休みやすい雰囲気作り」「適切な人員配置」「心理的サポート」…管理者や組織がちゃんと取り組まないと、いつまでも看護師が犠牲になり続ける構造は変わらない。
あと、「仕事から心理的に離れる」って大事だなって改めて思いました。オフの日に仕事のこと考えすぎない、LINEグループの通知オフにする、とか。小さいことだけど、自分を守るためにできることはやっていきたいですね。
皆さんも、無理しすぎないでくださいね。
参考文献
(1) Li, Z., Luo, Z., Chen, L., Chen, L., Chang, Y., Ma, X., & Tao, L. (2025). Present situation and influencing factors of presenteeism among nurses in China: a cross-sectional multicenter study. BMC Nursing, 24, 448. https://doi.org/10.1186/s12912-025-03095-9
(2) Gerlach, M., Hahn, S., Rossier, C., Geese, F., Hamers, J., & Backhaus, R. (2024). Presenteeism among nurses: An integrative review. International Journal of Nursing Studies Advances, 7, 100261. https://doi.org/10.1016/j.ijnsa.2024.100261
(3) Shan, G., Wang, S., Wang, W., Guo, S., & Li, Y. (2021). Presenteeism in nurses: prevalence, consequences, and causes from the perspectives of nurses and chief nurses. Frontiers in Psychiatry, 11, 584040. https://doi.org/10.3389/fpsyt.2020.584040
(4) Zhang, J., Wang, S., Wang, W., Shan, G., Guo, S., & Li, Y. (2020). Nurses’ job insecurity and emotional exhaustion: the mediating effect of presenteeism and the moderating effect of supervisor support. Frontiers in Psychology, 11. https://doi.org/10.3389/fpsyg.2020.02239

