ICU患者の眼の問題：なぜ特別なケアが必要か
皆さんは、集中治療室（ICU）における患者の眼の健康が、どれほど重要かご存知ですか？ICUに入院する患者は、重症であり、しばしば意識が低下しています。このため、眼を閉じるという基本的な保護機能が十分に働かないことがあります。
さらに、鎮静剤や筋弛緩薬の使用により、眼の自然な保護機構が弱まります。これにより、眼表面が乾燥し、眼疾患のリスクが高まります。実は、このような状況下での眼の問題は、しばしば見落とされがちです。
この記事では、ICU患者の眼の問題とその予防策について、2022年の研究を基に解説します。看護師の皆さんにとって、この情報は患者の眼の健康を守るために非常に重要です。患者の眼を守ることは、その全体的な回復と健康に大きく貢献するからです。
次のブロックでは、この問題に対処するための新しい眼ケアプロトコルについて詳しく見ていきましょう。
革新的な眼ケアプロトコル：その内容と実施方法
前回の記事で、ICU患者の眼の問題についてご紹介しました。今回は、その問題に対処するための新しい眼ケアプロトコルに焦点を当てます。
この革新的なプロトコルは、ICU患者の眼疾患予防に特化しており、病院での実施が推奨されています。具体的には、患者の眼を定期的に洗浄し、適切な保湿を行うことで、眼の乾燥や感染を予防します。また、眼蓋の閉じが不十分な患者には、人工涙液や保護性眼膜を使用することも含まれています。
具体的なプロトコル以下のの表です
| 患者の状態 | ケア内容 | |
|---|---|---|
| １ | まぶたが閉じている患者 | – ヒプロメロース0.3%を2時間ごとに両目に1滴ずつ、4時間続ける |
| ２ | 結膜のみが見える患者 | – ヒプロメロース0.3%を3滴使用 横に接着テープを使用して目を閉じる（上まぶたと下まぶたの間に接着テープを貼る） このケアを6時間続ける |
| ３ | 角膜が露出している患者 | – ヒプロメロース0.3%を2時間ごとに3滴ずつ、8時間続ける – 患者の目を閉じるために接着テープを横に使う |
| ４ | 全ての患者 | – 訓練を受けた看護師が各シフトで目を洗浄し、眼科ケアを提供（生理食塩水で目を洗浄後、ケアを実施） – 対照群は2時間ごとに定期的な眼のケア（まぶたと周囲の皮膚の洗浄）を受ける |
上記研究より引用
このプロトコルの導入により、角膜炎、結膜炎、眼乾燥、角膜潰瘍などのリスクを大幅に減少させることができます。実際に、最新の研究では、このプロトコルを使用したICU患者の眼の健康が顕著に改善されたことが報告されています。
次のブロックでは、この研究の具体的な成果について詳しく見ていきます。看護師の皆さんにとって、この情報は日々のケアに役立つこと間違いなしです。
臨床試験の結果：新プロトコルの効果と影響
前のブロックで新しい眼ケアプロトコルの内容と実施方法についてご説明しました。ここでは、そのプロトコルの臨床試験における具体的な成果を見ていきましょう。
この臨床試験は、イマーム・ホメイニー病院とゴレスターン病院のICU患者を対象に行われました。
眼科ケアプロトコルの使用により、介入群での角膜炎（P=0.027）、結膜炎（P=0.012）、目の乾燥（P=0.001）、角膜潰瘍（P=0.003）のリスクが、対照群に比べて減少しました。
つまり試験結果は、新プロトコルの使用が角膜炎、結膜炎、眼乾燥、角膜潰瘍のリスクを有意に減少させたことを示しています。これは、看護師にとって非常に重要な成果です。
プロトコルによるケアの効果は、患者の眼の健康だけでなく、全体的な快適さと回復にも寄与しています。看護師がこのプロトコルを日常的に実施することで、ICU患者の生活の質が向上する可能性があります。
実践への応用：看護師のためのポイントと提案
これまでのブロックで、新しい眼ケアプロトコルの重要性とその臨床試験の結果について詳しく見てきました。ではこの研究成果を実際の看護実践にどう応用するかに焦点を当てます。
看護師として最も重要なのは、定期的な眼のチェックとケアの継続です。ICU患者の眼は非常にデリケートで、小さな異常が大きな問題につながることがあります。そのため、日々のケアにおいては、患者の眼の乾燥や感染の兆候を常に警戒することが求められます。
また、プロトコルに基づいた眼ケアの実施は、看護師のスキルアップにもつながります。患者に最適なケアを提供するためには、最新の知識と技術の習得が不可欠です。このプロトコルを学び、実践することで、より質の高い看護を提供することができるようになります。
この記事シリーズを通じて、ICU患者の眼ケアの重要性と、そのための具体的な方法について理解を深めていただけたことを願っています。
参考文献
Mobarez F, Sayadi N, Jahani S, Sharhani A, Savaie M, Farrahi F. The effect of eye care protocol on the prevention of ocular surface disorders in patients admitted to intensive care unit. J Med Life. 2022 Aug;15(8):1000-1004.
