「また鳴ってる…でもどうせ誤報でしょ」
「家に帰っても耳の奥でピッピッピって聞こえる…」
「夢の中でもアラーム音で目が覚める…」
ICUで働いている看護師さん、こんな経験ありません?
実はこれ、アラーム疲労(Alarm Fatigue) という立派な医療問題なんです。2025年に発表されたレビュー論文では、ICU看護師のアラーム疲労の実態が明らかになりました。
その結果がまぁえぐい。
これって🦐えび🦐あるの?論文を見ていきましょう!
アラーム疲労って何?なぜ問題なの?
まず「アラーム疲労」について簡単に説明しますね。
アラーム疲労とは、医療従事者がアラーム信号に対して鈍感になり、アラーム音への反応が遅れたり、無視したりしてしまう状態 のこと。(1)
ICUってモニター類がめちゃくちゃ多いじゃないですか。人工呼吸器、輸液ポンプ、心電図モニター、パルスオキシメーター…もう音だらけ。
で、問題なのは アラームの70〜90%が誤報 だってこと。(1)
患者が動いただけ、センサーがズレただけ、スタッフが触っただけ…そんな理由でピッピッピ。
「オオカミ少年現象」 って聞いたことありますか?嘘のアラームが多すぎて、本当の緊急事態でも「どうせまた誤報でしょ」って反応が遅れちゃうやつ。
これがマジで怖いんです。
2025年レビュー:ICU看護師249名の声を分析
2025年4月に BMC Nursing に発表されたメタシンセシス(質的研究の統合レビュー)では、11の研究、合計249名のICU看護師 の経験が分析されました。(1)
研究では以下の3つの大きなテーマが浮かび上がりました:
- 頻繁なアラームの悪影響
- アラーム疲労の原因
- アラーム疲労への対処戦略
それぞれ見ていきましょう。
衝撃の数字:1勤務で最大1000回のアラーム
まずICUのアラーム環境がどれだけえぐいか、数字で見てみましょう。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 1勤務あたりのアラーム回数 | 最大1000回(1) |
| 1患者1日あたりのアラーム回数 | 150〜400回(1) |
| 誤報(False Alarm)の割合 | 70〜90%(1) |
| アラームが負担と感じる看護師 | 90%(1) |
1勤務で1000回って…計算したら 30秒に1回 くらいのペースですよ。そりゃ疲れるわ。
しかもその大半が誤報。ガチの緊急事態なんて数えるほどしかないのに、全部に反応してたら身が持たないですよね。
「家に帰っても音が聞こえる」看護師たちの生々しい声
論文には、ICU看護師の生々しい声がたくさん載っています。
精神的ダメージがえぐい
「家に帰ると、まだ聞こえるんです。夜中にアラームの夢を見ることもあります」(1)
「私は患者のアラームにいつも反応できるわけではない。何かに触れすぎると、それに対する感度が鈍くなってしまう。気にしないようにして、気が散らないようにしている」(1)
わかりみが深すぎる…
仕事の中断がヤバい
「とても具合の悪い患者さんがいたんです。カルテに記録を書こうとしたら、別の患者のアラームが鳴って。無視できないから対応したけど、自分の仕事のスケジュールが崩れてしまった」(1)
業務中断されまくりで、記録も終わらない。あるあるすぎて泣ける。
患者への影響も
「特に外科ICUでは、意識のある患者さんは緊張してしまう。アラームが真夜中でもいつでも鳴るから。患者さんは眠れなくなる」(1)
「機械がアラームを鳴らすと、あの点滅する光が患者さんにとって恐怖とストレスの源になる」(1)
患者さんも被害者なんですよね。
なぜアラーム疲労は起こるのか?4つの原因
論文では、アラーム疲労の原因が4つに分類されています。
1. 大量の誤報
70〜90%が誤報 という時点でもう詰んでる。
患者の動き、体位変換、スタッフの操作、センサーの位置ズレ…これらが真の生理学的変化ではないのにアラームを鳴らしまくる。
「何度も何度も偽アラームが多すぎて、スタッフが不注意になってしまう…有名なオオカミ少年の話と同じですよね?アラームがずっと鳴っていて、もう千回も起き上がったんだから、もちろん…」(1)
2. 標準化されていないアラーム管理
アラームの閾値設定がバラバラなんです。
「アラーム管理はICUではかなり大きな問題。ある人はアラームの限界をすごく狭く設定するから、誤報が頻発する。特に夜間は患者さんが眠るはずなのにモニターがずっと鳴っている」(1)
新人看護師は経験不足でアラームの重要度を判断できないことも。
「オリエンテーション期間中、なぜ自分の患者のアラームが聞こえないのか不思議でした。なぜ同僚のように音を聞き分けて問題に対処できないのか?」(1)
3. 医療機器の信頼性の低さ
技術的な問題も。
「CISCOの電話やポケベルは、緊急事態でもアラートが来ないことがある。遅延があったり、エレベーターで信号が途切れたり」(1)
「新しい心電図モニターは、些細なアラームでも同じ音量で鳴るから、オオカミ少年のような心理状態になって、本当のアラームを無視してしまう危険な状況になりかねない」(1)
しゃばい設計の機器も問題ってわけですね。
4. スタッフ不足
人が足りないと、アラーム対応も追いつかない。
「直接的な相関関係があると思う。スタッフ配置と適切な患者割り当てとアラームの関係…業務に追われていると、アラームに対処する時間がない」(1)
「シフトの看護師が少なくて緊急事態が発生すると…他の患者のアラームを無視したわけじゃなくて、スタッフが少なくて対応できないんです」(1)
最も怖い話:本当の緊急を見逃した事例
論文で最も衝撃的だったのがこの証言。
「正直に言うと、一度、私の患者が数日間、低酸素飽和度の誤報を繰り返していて、すぐにケア介入を必要としなかったことがありました。だからまたアラームが鳴った時、また同じ(誤報)だと思って…手元の仕事を続けて血液サンプルを先に送り出してから患者をチェックしたら、患者がチアノーゼになっていたんです」(1)
ガチでゾッとしました…
これがアラーム疲労の最も恐ろしい結末。誤報に慣れすぎて、本物の危機を見逃す 。
ちなみに研究によると、勤務中、1時間経過するごとにアラーム反応時間が6%遅くなる というデータもあります。(1)
どうすればいい?対処戦略
じゃあどうすればいいの?ってことで、論文で挙げられている対策を紹介します。
1. 個別化されたアラーム設定
「病棟のルーティンに慣れてから、機器が前の患者の健康状態に合わせて設定されていることに気づきました。アラームの閾値を変更する必要があって、それから患者ごとにそういう調整が必要だと学びました。より快適になり、ストレスも減りました」(1)
患者の状態に合わせてアラーム設定をカスタマイズすること。デフォルト設定のままだと誤報が増えがち。
2. チームワーク
「私たちはチームとして働いています。病棟の全患者を知っているから、助け合います…別の患者と一緒にいて出られない時は、同僚に『あれ何が鳴ってるか見てくれない?』って頼みます」(1)
お互いカバーし合える関係性、大事ですね。
3. 教育・トレーニング
「もっと時間があれば、(患者モニタリングの)機能をもっと学びたいし、新しい医療機器の使い方をもっと集中的にトレーニングしてほしい」(1)
研究によると 63.5%の看護師が基本的な機器操作ガイダンス以外のアラーム専門トレーニングを受けていない とのこと。(1)
4. 技術の改善とセルフケア
AIを使った誤報削減システムや、リモート患者モニタリングなどの新技術への期待も。
そして意外と大切なのがセルフケア。
「私は心の平和を持って出勤し、良い栄養と良いエネルギーを持って職場に来るようにしています。ここに来る時は常に最大限のエネルギーで来るようにしています、栄養面でも、身体面でも、精神面でも」(1)
結論
まとめ
✔ ICUでは1勤務で最大1000回のアラームが鳴る
✔ そのうち70〜90%が誤報
✔ 「オオカミ少年現象」で本当の緊急時に反応が遅れるリスク
✔ 「家に帰っても音が聞こえる」ほどの精神的ダメージ
✔ 患者安全に直接影響 する深刻な問題
✔ 個別化設定、チームワーク、教育が対策として重要
個人的な意見
「家に帰っても音が聞こえる」「夢の中でもアラーム」…
これ読んで「わかる…」ってなった人、多いんじゃないでしょうか。
ICUで働いたことある人なら、あの音の洪水は身に染みてわかるはず。でもそれが「仕方ない」で済まされていいわけがないんですよね。
アラーム疲労は個人の問題じゃなくて、システムの問題 です。
機器の設計、アラーム設定の標準化、スタッフ配置…組織として取り組むべきことがたくさんある。
論文でも強調されていますが、誤報を減らす技術改善、看護師へのトレーニング、心理的サポート が必要とされています。
もしあなたが今、アラーム疲労で苦しんでいるなら、それはあなたのせいじゃない。
「慣れろ」「気合で乗り切れ」じゃなくて、環境を変えていくべき問題 なんです。
まずはこの問題を知ってもらうことから。この記事がその一助になれば嬉しいです。
参考文献
(1) Xu, D., Liu, F., Ding, X., Ma, J., Suo, Y., Peng, Y.-Y., Li, J., & Fu, X. (2025). Exploring ICU nurses’ response to alarm management and strategies for alleviating alarm fatigue: a meta-synthesis and systematic review. BMC Nursing, 24, 412. https://doi.org/10.1186/s12912-025-03084-y

