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「うるさいし暑いから外して!」フットポンプ(IPC)は本当に血栓を防げる?一晩中つけるべきかの真実と看護師のチェックポイント【2019年PREVENT試験・2013年CLOTS3試験】

フットポンプの夜間装着の要否や観察項目をまとめたアイキャッチ画像 看護技術・看護関連
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「患者さんが『ブーって機械の音がうるさいし、足が暑くて蒸れるからもう外してくれ!』って、夜勤中にフットポンプ(IPC:間欠的空気圧迫法。カフに空気を送り込んで下肢の血流を促す器具)を自分で脱いじゃうんです…!」

夜勤帯の病棟や集中治療室(ICU:重症患者を24時間体制で治療管理する専門病棟)のラウンド中、ベッドサイドでシューッと虚しく空気を吐き出している機械と、足元に丸まって転がっているスリーブを見つけて「あちゃー!また外れてる…!」って焦った経験、看護界隈なら誰しも一度は通る道ですよね。

「これ、睡眠薬を飲んでウトウトしている患者さんを起こしてまで一晩中つけ直すべきなのかな?」「でも指示通りつけてないと、もし血のかたまりが肺に飛んだらどうしよう…」と、ナースステーションで先輩に相談できず一人で胃を痛めている人、めちゃくちゃ多いと思います。

そもそもフットポンプ(IPC)って、成人入院患者の深部静脈血栓症(DVT:足の深い静脈に血のかたまりができる病気)を本当に防いでくれるのでしょうか?

これって🦐えび🦐あるの?集中治療や急性期脳卒中の大規模な臨床研究を見ていきましょう!

病室で夜間にフットポンプの管理や装着判断について若手看護師と先輩猫ナースが相談するマンガ
夜間のフットポンプ管理と相談

成人入院患者のDVT予防にフットポンプ(IPC)は本当に効果があるの?

簡単なまとめ: 自力でトイレに歩行できない急性期脳卒中患者において、通常治療に大腿部までの間欠的空気圧迫法(IPC)を追加することで、深部静脈血栓症(DVT)の発生を有意に減らします。一方で、ヘパリンなどの薬物予防をすでに行っている集中治療室(ICU)の重症成人患者では、IPCを追加併用してもDVTリスクのさらなる低下は示されていません。大きな浮遊性血栓を伴う急性期DVTが疑われる場合や重度の末梢動脈疾患では圧迫を控えるなど慎重な判断が必要であり、装着時は腓骨神経麻痺や皮膚障害の確認が欠かせません。

出典: Arabiら 2019、Dennisら 2013、日本循環器学会ほか 2025

根拠(集中治療・脳卒中試験とガイドライン)

薬を打っている重症患者にIPCを追加するとDVTは減るの?

「術後やICUの患者さんには、ヘパリンも打ってフットポンプ(IPC)も巻いて、ダブルでガチガチに対策するのが正義でしょ!」って信じていた方、結構いませんか?

実は、重症患者さんを対象にした大規模な研究で、かなり衝撃的な結果が報告されています。

2019年に発表されたPREVENT試験(ICU患者における間欠的空気圧迫法の血栓予防効果を検証した国際多施設臨床試験)では、サウジアラビア、カナダ、オーストラリア、インドの20施設で、成人重症患者2,003人を対象に検証が行われました(1)。

この試験では、患者さん全員が低分子ヘパリン(LMWH:血液をサラサラにして血栓を予防する皮下注射薬)または未分画ヘパリン(UFH:古くから使われている標準的な抗凝固薬)による薬物予防を受けており、その上で「薬物予防+IPC併用群(991人)」と「薬物予防単独群(1,012人)」にくじ引きのように振り分けられました。

IPC群の患者さんは、1日あたり中央値で 22時間 もしっかりポンプを装着し、中央値で7日間にわたり圧迫を継続していました。

超音波検査で定期的に足の静脈を調べた結果:

  • 主要評価項目である新規の近位部深部静脈血栓症(DVT):IPC併用群 3.9% (37/957人) vs 薬物単独群 4.2% (41/985人)
  • 相対リスク(RR:ある介入によってイベントが起きる割合が何倍になるかを示す数値)は 0.93 (95%信頼区間[CI:真の値が含まれる確率を示す統計の幅]0.60〜1.44、p値=0.74で有意差なし)
  • 静脈血栓塞栓症(VTE:下肢の深部静脈血栓症や肺塞栓症を合わせた血栓症の総称)全体の発生率:IPC併用群 10.4% (103/991人) vs 薬物単独群 9.4% (95/1,012人)(RR 1.11、95%CI 0.85〜1.44で有意差なし)
  • 90日死亡率:IPC併用群 26.1% (258/990人) vs 薬物単独群 26.7% (270/1,011人)(RR 0.98、95%CI 0.84〜1.13で有意差なし)

うーむ、毎日22時間も真面目に脚をモミモミし続けていたのに、薬物予防が入っていれば血栓の発生率も死亡率もほぼ変わらなかったなんて、現場で汗だくになってポンプを巻き直していた身からすると「うちらの努力って一体…!?」ってちょっと叫びたくなりますよね。

なお、血栓予防としてヘパリン皮下注を併用する際の詳しい手技やアザの注意点については ヘパリン皮下注のアザ予防の記事 で解説しています。

薬物予防がすでにしっかり入っている重症患者さんであれば、夜間に患者さんが少し外したがったからといって「今すぐつけ直さないと血栓で即死する!」とパニックになる必要はないという見方もできます。

薬物予防を行っている重症患者におけるフットポンプ併用の比較図
薬物併用患者での効果の比較

自力で歩けない急性期脳卒中患者ではIPCは効くの?

「じゃあ、フットポンプ(IPC)自体が全く意味ないってコト!?」と早合点してはいけません。

自力で歩行できないような急性期の脳卒中患者さんでは、通常治療にIPCを追加することが確かな選択肢になります。

それを示したのが、2013年に医学雑誌Lancetに掲載された有名なCLOTS 3試験(急性期脳卒中患者に対する間欠的空気圧迫法の効果を検証した大規模ランダム化比較試験)です(2)。

この試験では、自力でトイレまで歩行できない急性期脳卒中患者2,876人を対象に、ルーチンの通常治療群(1,438人)と通常治療に大腿部までのIPCを追加した群(1,438人)をランダム化比較試験(RCT:患者をくじ引きのように公平に分けて治療効果を比べる臨床研究)で比較しました。なお、登録時点で患者さんの約25%がヘパリンやワルファリン、血栓溶解薬などの投与を受けており、割り付け後も約17%で予防用量のヘパリン類が使われていました。

その結果:

  • 30日以内の近位部DVT発生率:IPC群 8.5% (122/1,438人) vs 対照群 12.1% (174/1,438人)
  • 絶対リスク減少は 3.6% 、オッズ比(OR:ある事象の起きやすさの比率を表す統計の指標)は 0.65 (95%CI 0.51〜0.84、p=0.001)で、IPC群で血栓が統計学的に有意に減少しました。
  • なお、6ヶ月後の死亡率はIPC群 22.3% (320/1,438人) vs 対照群 25.1% (361/1,438人)で、調整オッズ比 0.85 (95%CI 0.70〜1.01、p=0.059)と、統計学的に有意な差には至らない低下傾向にとどまりました。

自力で歩行できない急性期において、通常治療に加えて機械が外から血液を物理的に押し上げてうっ滞を防いでくれるのは、シンプルですが確かな予防効果があるんですよね。

ただし、この研究ではもう一つ見逃せない数字があります。

下肢全体の皮膚障害(皮膚のびらんや水疱、潰瘍など)が、IPC群で 3% (44人)発生し、対照群の 1% (20人)に比べて有意に多く見られました(p=0.002)。ただし、この数値は「スリーブの下」に限ったものではありません。実際にIPCに起因すると判定された皮膚障害は 0.7% (10人)にとどまり、多くはIPCを取り外した後に生じたか、スリーブで覆われていないかかとの損傷だったと報告されています。

血栓を防ぐために良かれと思って巻き続けた結果、皮膚が剥けてジュクジュクになってしまったら本末転倒ですよね。

歩行困難な急性期脳卒中患者での血栓予防効果と皮膚障害の比較図
歩けない脳卒中患者での比較

なお、主に外傷や外科手術の患者さんを対象とした2022年のコクラン(Cochrane:世界中の医学研究を公平に評価してまとめる国際的な医療評価組織)によるシステマティックレビュー(特定のテーマに関する複数の研究を網羅的に集めて分析した総説)では、抗凝固薬による薬物予防にIPCを併用することで、薬物単独よりもDVTの発生を有意に減らすと報告されています(3)。患者さんの疾患背景や全身状態によって、併用による上乗せ効果の現れ方は異なってくるわけですね。

一晩中ずっと着け続けるべきなの?外してしまう患者への対応は?

「夜勤のたびに患者さんが『暑い!うるさい!』って怒って外しちゃうんですけど、一晩中無理にでもつけさせるべきなんですか?」という現場の切実な叫び、めちゃくちゃ共感します。

臨床試験やガイドラインが想定している基準を見ると、原則として「1日あたり18時間から20時間以上の装着」が求められています。

つまり、寝ている夜間も含めて、歩行していないベッド上安静の時間はできる限り装着し続けることが前提です。

しかし、実際の病棟において大きな課題となるのが「アドヒアランス(患者さんが治療指示を守って継続できる度合い)の低さ」なんですよね。

実際の病棟では、医師の指示通りに装着を続けようとしても、患者さんの不快感や検査・処置での中断、看護師の巻き直し忘れなどが重なり、装着時間を十分に維持できないケースも珍しくありません。なお、先述のPREVENT試験ではIPC群の装着時間が1日あたり中央値で22時間と非常に高く保たれていましたが、CLOTS 3試験では1日あたりの装着時間までは記録されていませんでした。

夜中に「ブオー、プシュー、カチッ」と一定間隔で鳴り響く作動音に耐えながら、脚全体をビニール素材で密閉されて汗だくになる患者さんの立場になれば、「頼むからこれ外してくれ!」と叫びたくなる気持ちも痛いほど分かります。

夜勤の巡回で、そっと足元を直そうとした瞬間に「それつけたら絶対寝られないから触らないで!」とピキられて、看護師側も「すみません…でも先生の指示で…」と冷や汗をかきながら退散する場面、まさに夜勤の胃痛あるあるじゃね?って思います。

だからこそ、「無理やり怒って縛り付ける」のではなく、患者さんが快適に受け入れられるような環境調整と丁寧な説明が欠かせません。

限界点も知っておこう

フットポンプ(IPC)は安全な物理療法に見えますが、患者さんの状態によっては使用を控えるべき状況や、慎重なモニタリングが求められるケースが存在します。ここを見落とすと重大なトラブルにつながりかねません。

  1. すでに下肢に急性期のDVTが存在する、または疑われる場合:
    ガイドラインでは、下肢に大きな浮遊性血栓を伴う症例では圧迫療法の着用時に肺血栓塞栓症(PTE:足などでできた血栓が血流に乗って肺動脈を塞ぐ病態)を誘発する可能性が指摘されています(4)。そのため、すでにDVTの診断がついている場合や、下肢の急な腫脹・疼痛など血栓が疑われる所見がある場合は、看護師の自己判断でIPCを開始せず、必ず医師や病棟のプロトコルに確認する必要があります。「足が急にパンパンに腫れて痛い」と言っている患者さんに、安易に「むくみがあるからポンプで流そう!」と独断で巻いてしまうのは避けてください。
  2. 重度の末梢動脈疾患(PAD:足の動脈が動脈硬化などで狭くなり血行障害を起こす病気)や閉塞性動脈硬化症(ASO:足の動脈が硬くなって詰まり血流が悪くなる病気):
    ガイドラインでは、重度の末梢動脈疾患(足関節上腕血圧比[ABI:足首と上腕の血圧の比率から動脈の詰まり具合を評価する検査指標]が0.5未満、または足関節圧が60 mmHg未満)の症例では、動脈血流が悪化するおそれがあるため圧迫療法の使用を控えることとされています(4)。足背動脈の拍動が触れず、足先が冷たく蒼白な患者さんでは、圧迫によって末梢の血行障害を悪化させる危険があるため慎重な確認が必要です。
  3. 急性炎症(蜂窩織炎など)や重症うっ血性心不全:
    ガイドラインでは、蜂窩織炎(皮下組織の細菌感染による急性炎症)などの急性炎症や、重症のうっ血性心不全を伴う症例において、圧迫療法を行う際は皮膚障害や疼痛、心不全増悪などのリスクを慎重に勘案し、使用する場合は綿密な観察やモニタリングが必要とされています(4)。下肢の静脈還流量の増加が心臓に負担をかける可能性や、炎症部位への機械的刺激による皮膚悪化のリスクを考慮し、全身状態を注意深く見守る必要があります。

現場での判断では、自分の病院の看護手順書やプロトコル(手順の取り決め)の確認が第一です。術後指示や主治医の指示内容をカルテで必ず事前に確かめておきましょう。

フットポンプの使用を控える場面や慎重な判断が必要な状態を示した図
使用を控えるべき慎重な場面

今後どうしていくべきなの?(手順・例外・判断基準)

日々の看護業務ですぐに使える、看護師が押さえておくべき4つの実践ステップです。

  1. 装着前に「血栓徴候」と「足の血流・皮膚」を手と目で確認する:
    スリーブを巻く前に、必ず両足を露出して観察します。左右のふくらはぎの周囲長に明らかな差がないか、片足だけ赤く腫れて熱を持っていないか、ふくらはぎを軽く掴んだときに強い痛み(把握痛)がないかを確認します。また、足背動脈や後脛骨動脈の拍動を指で触知し、足先が冷たくないか、チアノーゼがないかを確かめます。もし「片足だけ急に腫れて痛がる」場合は血栓の疑いがあるため、絶対にポンプを起動せず、すぐに医師へ報告して下肢静脈エコー検査などの指示を仰ぎます。
  2. スリーブのサイズを選び、腓骨頭(ひこつとう)の直撃を避ける:
    足のサイズに合った適切なスリーブを選びます。膝下用スリーブを巻くときに一番注意すべきなのが「腓骨神経麻痺(足首や親指を上に反らせなくなる麻痺)」です。膝の外側やや下にある骨の出っ張り(腓骨頭)のすぐ浅いところを腓骨神経が通っているため、ここをカフの硬い部分や面ファスナーで強く圧迫し続けると、翌朝患者さんの足首が下にダラリと垂れ下がって自力で上がらなくなります(下垂足)。腓骨頭を直撃しない位置に合わせ、指が1〜2本入る程度のゆとりを持って巻きましょう。
  3. 1日数回はスリーブを外して皮膚を直接視認し、除湿・清潔ケアを行う:
    「指示が出ているから」と何日もスリーブを巻きっぱなしにするのは、皮膚トラブルの最大の温床です。日勤の清拭時や処置時、夜勤の観察時など、最低でも1日数回はスリーブを完全に外し、かかとや脛に発赤や水疱、スキンテア(皮膚裂傷)ができていないか直接目で見て確認します。汗をかいて蒸れている場合は、濡れタオルで清拭してしっかり乾かすか、パウダーや専用の薄手ストッキングを下履きにして皮膚を保護します。
  4. 「なぜ巻くのか」を説明し、夜間に外したくなったときの逃げ道を作る:
    認知機能が保たれている患者さんには、導入時に「これは足に血のかたまりができるのを防ぎ、そのかたまりが肺に飛んで息ができなくなる命の危険を防ぐための大切な機械なんです」と理由をしっかり伝えます。その上で、「どうしても夜間に音が気になって眠れないときや、足が熱くて耐えられないときは、自分で無理に外さずにナースコールを押してくださいね。一時的に外して風を通したり、足を拭いたりして調整しますからね」と伝えておきます。無断で引きちぎられて朝まで放置されるのを防ぎ、協力体制を築くのが最も安全な近道です。
フットポンプ装着前後の両足観察や腓骨頭圧迫回避の手順を示した図
フットポンプ装着前後の手順

✔まとめ

  • 成人集中治療室(ICU)でヘパリンなどの薬物予防をすでに受けている重症患者では、間欠的空気圧迫法(IPC)を追加併用しても深部静脈血栓症(DVT)の発生率や死亡率は有意に減少しない(PREVENT試験)。
  • 一方で、自力でトイレに歩行できない急性期脳卒中患者では、通常治療に大腿部までの間欠的空気圧迫法(IPC)を追加することで、深部静脈血栓症(DVT)の発生を有意に減らす(CLOTS 3試験。なお6ヶ月死亡率は有意差のない低下傾向にとどまる)。
  • ガイドライン上、大きな浮遊性血栓を伴うDVTでは肺血栓塞栓症の誘発に注意が必要であり、重度の末梢動脈疾患(PAD)では動脈血流悪化のおそれから圧迫を控える。蜂窩織炎などの急性炎症や重症うっ血性心不全でもリスクを慎重に判断して観察を行う。
  • 看護師は装着前に下肢の左右差・把握痛・足背動脈の拍動を確認し、装着中は腓骨頭への圧迫による腓骨神経麻痺や、蒸れによる皮膚障害(水疱や潰瘍)を定期的に観察・予防する。

個人的には、夜勤中にフットポンプの作動音が病室に響き渡る中、「早く寝てほしいけど、機械がうるさくて寝られないよね…」と患者さんと顔を見合わせて苦笑いする瞬間、病棟看護師なら誰もが胸を痛めたことがあると思います。

「血栓予防のために絶対外すな!」と上から目線で押し付けるのではなく、薬物予防の有無や本人の睡眠状況を天秤にかけながら、皮膚の除湿や足浴を挟んだり、主治医と離床の進み具合を相談して外せるタイミングを検討したりできる柔軟なナースこそ、患者さんにとって一番頼もしい味方ですよね。

よくある質問

Q1. 成人入院患者のDVT予防にフットポンプ(IPC)は本当に効果があるの?

A. 自力でトイレに歩行できない急性期脳卒中患者において、通常治療に大腿部までの間欠的空気圧迫法(IPC)を追加することで、深部静脈血栓症(DVT)の発生を有意に減らします。一方で、ヘパリンなどの薬物予防をすでに行っている集中治療室(ICU)の重症成人患者では、IPCを追加併用してもDVTリスクのさらなる低下は示されていません。大きな浮遊性血栓を伴う急性期DVTが疑われる場合や重度の末梢動脈疾患では圧迫を控えるなど慎重な判断が必要であり、装着時は腓骨神経麻痺や皮膚障害の確認が欠かせません。

Q2. 患者さんがフットポンプ(IPC)を夜間にうるさい・暑いと嫌がるときはどうすればいいですか?

A. なぜポンプが必要なのか(血栓が肺へ飛ぶ命の危険を防ぐため)を丁寧に説明した上で、室温の調整や掛け物の減量、足元の通気を良くする工夫を行います。また、皮膚の蒸れやかゆみがある場合は、一度スリーブを外して汗を拭き取り、十分乾燥させてから再装着します。どうしても眠れず苦痛が強い場合は、勝手に外して朝まで放置されるのを防ぐため、患者さんにナースコールで呼んでもらい、主治医に薬物予防の状況や離床レベルに応じた一時中断や弾性ストッキングへの変更が可能か相談します。

暗い病室にポンプの作動音が響くなか、「外してほしい」という訴えに耳を傾け、足元へ何度もかがんでスリーブや皮膚の様子を確かめる夜は気が抜けません。ドアや端末を通るたびに名札が前に揺れたり取り出したりする動作も、忙しい巡視では地味な負担になりがちです。

そんな身の回りの小さな煩わしさを減らす道具として、「セキセイ ベルポスト リール付きIDカードホルダー」のように扱いやすい品をひとつ選ぶのも手です。かざすときだけ手元へ伸びて普段は胸元に収まるため、職員証をすっきり携帯でき、慌ただしい勤務を穏やかに助けてくれます。

夜間のポンプ継続や外したい訴えへの対応、確認項目や報告先、名札やネックストラップの着用規定も各職場の施設手順優先と医師の指示が基本ですので、「施設手順>一次エビデンス>医師指示>商品は補助」を守り、日々の勤務を支えるささやかな品として優しく役立ててみてください。

職員用の扉の前でリール付きIDカードホルダーについて話す若手看護師と先輩猫ナースのマンガ
リール付きホルダーの活用

参考文献

(1) Arabi, Y. M., Al-Hameed, F., Burns, K. E. A., Mehta, S., Alsolamy, S. J., Alshahrani, M. S., Mandourah, Y., Almekhlafi, G. A., Almaani, M., Al Bshabshe, A., Finfer, S., Arshad, Z., Khalid, I., Mehta, Y., Gaur, A., Hawa, H., Buscher, H., Lababidi, H., Al Aithan, A., Abdukahil, S. A. I., Jose, J., Afesh, L. Y., Al-Dawood, A., & Saudi Critical Care Trials Group. (2019). Adjunctive Intermittent Pneumatic Compression for Venous Thromboprophylaxis. The New England Journal of Medicine, 380(14), 1305–1315. https://doi.org/10.1056/NEJMoa1816150
(2) Dennis, M., Sandercock, P. A., Reid, J., Graham, C., Forbes, J., Murray, G., & CLOTS Trials Collaboration. (2013). Effectiveness of intermittent pneumatic compression in reduction of risk of deep vein thrombosis in patients who have had a stroke (CLOTS 3): a multicentre randomised controlled trial. The Lancet, 382(9891), 516–524. https://doi.org/10.1016/S0140-6736(13)61050-8
(3) Kakkos, S. K., Kirkilesis, G., Caprini, J. A., Geroulakos, G., Nicolaides, A., Stansby, G., & Reddy, D. J. (2022). Combined intermittent pneumatic leg compression and pharmacological prophylaxis for prevention of venous thromboembolism. Cochrane Database of Systematic Reviews, 2022(1), CD005258. https://doi.org/10.1002/14651858.CD005258.pub4
(4) 日本循環器学会/日本肺高血圧・肺循環学会合同ガイドライン(班長:田村雄一). (2025). 2025年改訂版 肺血栓塞栓症・深部静脈血栓症および肺高血圧症に関するガイドライン(JCS/JPCPHS 2025). https://www.j-circ.or.jp/cms/wp-content/uploads/2025/03/JCS2025_Tamura.pdf


※本記事に記載されたエビデンスおよび臨床情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、個々の患者における特定の診断や治療の決定を代替するものではありません。実際の患者ケアにあたっては、各医療機関のプロトコルおよび担当医師の指示に従ってください。

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