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熱発患者の血液培養はCVCから採血していいの?偽陽性を防ぐ4大原則【2022年CLSI・CDCガイドライン】

血液培養の採取手順と注意点を示すアイキャッチ画像 看護技術・看護関連
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「熱発してる!CVC(中心静脈カテーテル:心臓の近くまで届く太い点滴チューブ)入ってるし、ルートからサクッと血液培養引いちゃダメかな…?」

夜間帯のICU(集中治療室:重症患者を24時間体制で治療管理する病棟)や急性期病棟、点滴やモニターのアラームが鳴り響く中で「発熱!血培2セット採って」の指示。末梢血管が細くて穿刺に苦労しそうなとき、すでに入っているCVCから引きたくなる気持ち、めちゃくちゃ分かります。

でも、カテーテルから引くと偽陽性が出やすいって聞くし、最初の血液を何mLか捨てるべきなのか、消毒はどれくらい待つのか、そもそも2セットも本当に必要なのか、迷うことありません?

これって🦐えび🦐あるの?CLSI(臨床・検査標準協会:検査の標準手順を定める国際専門機関)やCDC(米疾病対策センター:感染症対策を率いる米政府機関)のガイドライン、近年の研究を見ていきましょう!

病棟の処置車前で若手看護師と先輩のねこナースが血液培養の採血手順を相談する場面
血液培養における採血手順の確認

血液培養は中心静脈カテーテルから採血していいの?

簡単なまとめ: 原則として中心静脈カテーテル(CVC)からの採血は避け、別々の部位からの末梢静脈穿刺で採取します。CVCからの採血は末梢穿刺に比べて汚染率が2倍以上高く、カテーテル内腔の常在菌による偽陽性を招きやすいためです。ただし、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)が疑われる場合に限り、末梢血とCVCの両方から同時に採取します。

出典: CDC 2022、Snyderら 2012、Evertsら 2001

根拠(国際ガイドラインと臨床研究)

カテーテル採血と末梢穿刺で汚染率はどれくらい違うの?

CLSIの2022年指針M47では、血液培養のコンタミネーション(汚染)率の目標を3%未満としています。さらに推奨手技を徹底した施設では、1%以下を目指せると明記されました(2)。

だけど、留置されているCVCから採血すると、この数字が一気に跳ね上がります。

Snyderらがまとめたメタアナリシス(複数研究を統合した分析)によると、末梢静脈穿刺はカテーテル採血より汚染リスクが大幅に低く、9件の研究を統合した解析でオッズ比2.69と末梢穿刺が明確に有利でした(1)。

また、Evertsらが1,408組の血液培養を比較した研究でも、カテーテル採血の汚染率は3.8%だったのに対し、末梢穿刺では1.8%と有意に低く抑えられており、カテーテル側では検出される菌の種類も雑多でした(8)。

うーむ、カテーテルから採るだけで汚染リスクが約2倍に跳ね上がるって聞くと、やっぱり見過ごせない数字ですよね。忙しい夜勤で「血管探すの大変だからCVCから引いちゃえ!」とやると、皮膚やハブの菌を拾って陽性になり、後から不要なバンコマイシンが始まって採血や血中濃度測定が増えるという、完全に自分の首を絞める展開が待っています。楽したい気持ちと裏腹に、偽陽性で抗生剤のオーダーが増えて夜間の点滴更新が増えるの、もはやコントじゃね?って苦笑いしたことあります。

CDCの2022年の手引きでも、血液培養は末梢静脈穿刺での採取を原則とし、カテーテルからの採血はカテーテル関連感染が疑われる場合に末梢血とペアで採取するときに限るべきだと示されています(7)。

カテーテル採血と別部位からの末梢穿刺を比較した部位選択の図
採血部位の選択基準

じゃあ、CVCから採っていい例外はあるの?というと、カテーテル関連血流感染症(CRBSI:留置したカテーテルが原因で血管内に菌が侵入する感染症)を疑う場合だけです。この時は「CVCから1セット」+「末梢穿刺から1セット」を同時に採り、陽性判明時間差(DTP:カテーテル採血と末梢血採血で菌が陽性になるまでの時間差)を比べます。米国感染症学会(IDSA:感染症診療の指針を策定する専門学会)のガイドラインでは、カテーテルハブからの採血が末梢血より2時間以上早く陽性になることがCRBSIの診断基準の一つとされています(9)。

最初の血液を捨てる「初流血破棄」は本当に効果があるの?

採血するとき、針が皮膚を貫通する瞬間に、毛穴や表皮の微小な皮膚片が針の中に入り込むことがあります。皮膚表面をいくら入念に消毒しても、毛穴の奥深く(脂腺や毛包)に潜む菌までは消毒薬が届かないからです。

そこで注目されたのが「初流血破棄」、つまり最初の1.5〜2mLの血液を培養ボトルに入れずに分流(ディバージョン)する手技です。

Ruppらは救急外来の成人904人(血液培養1,808件)を対象に前向き対照試験を行いました。初流血破棄デバイス(ISDD:採血初期の血液を皮膚片ごと隔離する専用器具)を導入したところ、汚染率は従来の1.78%から0.22%へと激減しています(3)。

しかも、本物の菌血症の検出率は7.6%から7.2%で有意差なし(p=0.41)。大事な菌を見落とすこともありませんでした。

Zimmermanらの入院患者を対象とした研究でも、初流血破棄デバイスを用いた群は汚染率1.0%に対し、通常採血群は5.2%でした(4)。

CLSIの2022年指針M47でも、専用デバイスによる初流血分流によって汚染率が低下した研究結果が紹介されています(2)。

だけど、、、現場に専用デバイスがない病棟も多いですよね。じゃあシリンジで最初の2mLを吸って捨てればいいの?って疑問が湧きます。手動でシリンジを外して別のシリンジに付け替える操作は、外気に触れる回数が増えて針刺し事故のリスクもあるため、開放系での手動ディバージョンは一長一短とされています。器具がないのに無茶なシリンジの付け替えをするよりは、まずは清潔操作を徹底する方が無難です。

消毒薬の乾燥時間はどれくらい待つべきなの?

消毒薬を塗ったあと、乾く前にすぐ刺していませんか?

アルコール性クロルヘキシジン(1%〜2%液/70%アルコール)や10%ポビドンヨードなどの消毒薬は、乾く過程で細菌の細胞膜を破壊して殺菌効果を発揮 します。

乾燥時間の目安:

  • アルコール性クロルヘキシジン:最低30秒以上、完全に自然乾燥するまで待つ。
  • ポビドンヨード:最低1.5分〜2分、乾くまで待つ(ヨウ素が遊離して殺菌するのに時間がかかる)。

焦って「ふーふー」と息を吹きかけたり、手でパタパタ扇いだりするのは絶対にNG。息に含まれる口腔内常在菌を穿刺部に吹き付けているようなもので、完全に本末転倒です。乾くのを待つ30秒間、手持ち無沙汰で時計を凝視しているナースの姿、夜勤あるあるですよね。

そして、消毒した後に「血管どこだっけ?」と素手で触り直すのも厳禁。触るなら滅菌手袋を着用するか、消毒前に駆血帯を巻いて血管の位置と走行をしっかり決めておくのが基本です。

ボトルのゴム栓も忘れがちです!ボトルのプラスチックキャップは単なる防塵カバーであって、滅菌シールではありません。キャップを外した後のゴム栓も、70%アルコール綿などで15秒間しっかり擦って消毒し、乾燥させてから針を刺す必要があります。

駆血による部位決定からゴム栓清拭と皮膚乾燥までの採血準備の流れ
採血前の準備手順

なお、カテーテル採血時や日常の感染対策全般における手の清潔さについては、手指衛生の遵守率と院内感染対策の記事 でも詳しく触れています。

血液培養はなぜ2セット(計4本)必要なの?

「1セットでも血は採れてるし、2回刺すの患者さんも痛がるから1回でよくない?」って思ったこと、ありません?

2セット採る最大の理由は 「血液量」 と 「汚染の判別」 です。

成人の血流感染では、血液1mL中に含まれる細菌の数はごくわずかです。そのため、採血量が少なすぎると菌を拾えません。ボトル1本当たり8〜10mL、1セット(好気性ボトル1本+嫌気性ボトル1本)で計20mL、2セットで計40mLの血液量が標準とされています。

LeeらやCockerillらの研究データを見ると:

  • 1セット(20mL):検出率は約 65%〜73% にとどまる(3〜4人に1人の菌血症を見落とす)。
  • 2セット(40mL):検出率は約 80%〜90% まで上昇する(5)(6)。
  • 3セット(60mL):検出率は約 96%〜98% に達する。

1セットだけだと、菌血症の約3割を見逃してしまう計算になります。血管が見つからなくて1セットで力尽きそうになる気持ちも分かりますが、40mLしっかり確保するのが結果的に患者さんを救います。

もう一つの決定的な理由が、コンタミネーションの判別です。

皮膚常在菌である凝固酵素陰性ブドウ球菌(CoNS:皮膚表面に常在し、血培汚染の主因となる菌群)を例に考えてみましょう。2セット(計4本)採取して4本中1本だけ菌が生えた場合なら、医師も「これは採血時の混入だな」と当たりをつけられます。

しかし1セット(2本)しか出していないと、本物の血流感染なのか単なる混入なのか、データ上区別がつきません。

一組採取と二組採取における汚染判別の違いを比較した図
二組採取の重要性

なお、末梢ライン自体の管理や交換基準については、末梢静脈カテーテルの交換頻度の記事 を参考にしてみてください。

限界点も知っておこう

どんなに丁寧に行っても、コンタミネーションをゼロ(0%)にすることは現実的に難しいとされています。CLSI M47でも「目標は1%以下」としており、完全な無菌採取には限界があります。

初流血破棄デバイス(ISDD)は有効ですが、コストがかかり導入している施設が限られます。

血管確保が極めて困難な重症患者やショック状態の患者では、規定の採血量(40mL)を確保できない場合があります。その際も、自分の判断だけで減らすのではなく、医師や検査技師と相談して小児用ボトルを活用するなどの対応が必要です。

病院ごとのマニュアルや手順書が最優先です。消毒薬の種類やCVC採血の適応基準は、各医療機関の感染対策マニュアル(ICT:感染制御チーム。院内感染を防ぐ専門チームの手順)に定められているルールを事前に確認してください。

今後どうしていくべきなの?(手順・例外・判断基準)

現場での具体的な4つのステップ:

  1. 採血部位の選定: 原則として「別々の部位から2回の末梢静脈穿刺」。CVCや留置中の末梢静脈カテーテル(PIV:腕などの細い血管に入っている一般的な点滴ルート)からの採血は行わない。例外はCRBSI疑い時のペア採血のみ。
  2. 採血前の準備: 駆血帯を巻き、穿刺部位を触診して決めてから消毒に入る。ボトルのキャップを外し、ゴム栓を70%アルコール綿で15秒清拭して乾燥させる。
  3. 皮膚消毒と完全乾燥: アルコール性クロルヘキシジンなら30秒、ポビドンヨードなら1.5〜2分間、触らず息を吹きかけず、完全に乾くまで待つ。乾く前に刺さない。
  4. 必要量の確実な採取: 各ボトル8〜10mL(好気・嫌気で計20mL×2セット=40mL)を確実に注入する。翼状針採血なら好気性ボトルから先に注入する(チューブ内の空気を嫌気ボトルに入れないため)。シリンジ採血なら嫌気性ボトルから先に注入する。

✔まとめ

✔ CVCからのルーチン採血は避ける:汚染率が約2倍に跳ね上がるため、基本は末梢静脈穿刺2か所。
✔ 初流血破棄は有効だが閉鎖式器具が前提:専用器具なら汚染を劇的に減らせるが、現場での無理な手動シリンジ交換は針刺しリスクを伴う。
✔ 消毒薬は完全乾燥まで待つ:アルコール性クロルヘキシジンは30秒、ポビドンヨードは1.5〜2分間、息を吹きかけずに待つ。
✔ 2セット(40mL)で感度90%超:1セットだけでは3割見落とし、コンタミの判別も不能になる。

個人的には、夜勤でヘトヘトな時に発熱コールがあると「CVCから吸わせてくれ〜!」と叫びたくなる気持ちは痛いほど分かります。だけど、そこでグッとこらえて末梢から丁寧に2セット採る数分の手間が、結果的に患者さんを不要な抗菌薬や点滴ルート追加から守る最短ルートなんですよね。今夜も安全第一でいきましょう!

よくある質問

Q1. 血液培養は中心静脈カテーテルから採血していいの?

A. 原則として中心静脈カテーテル(CVC)からの採血は避け、別々の部位からの末梢静脈穿刺で採取します。CVCからの採血は末梢穿刺に比べて汚染率が2倍以上高く、カテーテル内腔の常在菌による偽陽性を招きやすいためです。ただし、カテーテル関連血流感染症(CRBSI)が疑われる場合に限り、末梢血とCVCの両方から同時に採取します。

Q2. 血液培養の2セットは同じ腕から同時に採血してもいいの?

A. 異なる穿刺部位(例えば右手と左手など)から別々に採血するのが原則です。同じ部位から採血すると、皮膚の消毒不良や表皮ブドウ球菌の混入があった場合に両方のセットが同時に汚染され、偽陽性の判別ができなくなるためです。

Q3. 血液培養のボトルには好気性と嫌気性のどちらから先に血液を入れますか?

A. 翼状針(採血ライン)を使って直接ボトルに採血する場合は、チューブ内の空気が最初に入るのを防ぐため「好気性ボトル→嫌気性ボトル」の順で注入します。一方、シリンジで吸引してから分注する場合は、シリンジ先端に空気が混ざるのを避けるため「嫌気性ボトル→好気性ボトル」の順で注入するのが推奨されます。

※本記事は医療従事者の実践的な知識共有を目的としたものであり、医学的診断や治療の代替ではありません。実際の採血手技や適応基準については、各医療機関の感染管理手順書および医師の指示に従ってください。

急な発熱で血液培養を取るときは、消毒薬の乾燥を待ったり手袋交換や手洗いを繰り返したりと、神経も手元も使いますよね。一連の処置が終わるころには、手元がカサカサして突っ張るように感じる日も多いはずです。今日もお疲れさまでした。

処置の直前やケア中には使えませんが、申し送り後や休憩時間に、ロッカーやバッグへ無香料のハンドクリームを忍ばせておくのがささやかな息抜きです。香りを気にせず手元に置ける「ニュートロジーナ ノルウェーフォーミュラ ハンドクリーム」は、手をいたわる時間に重宝します。病棟のルールに従い、ほっと一息つくお供にしてみてください。

皮膚消毒や乾燥時間、ボトルの採血順や採血量、報告先や手順は、施設手順や医師指示に従いましょう。「施設手順>一次エビデンス>医師指示>商品は補助」ですので、まずは安全な手技が一番大切です。慌ただしい勤務を乗り切ったご自身の手を、仕事終わりに優しく労わってあげてくださいね。

申し送り後のロッカー室で先輩とハンドクリームについて話す若手看護師
勤務後のハンドクリームの使い方

参考文献

(1) Snyder, S. R., et al. (2012). Effectiveness of practices to reduce blood culture contamination: a Laboratory Medicine Best Practices systematic review and meta-analysis. Clinical Biochemistry, 45(13-14), 999-1011. https://doi.org/10.1016/j.clinbiochem.2012.06.007

(2) Clinical and Laboratory Standards Institute. (2022). Principles and Procedures for Blood Cultures (2nd ed., CLSI guideline M47). Clinical and Laboratory Standards Institute.

(3) Rupp, M. E., Cavalieri, R. J., Marolf, C., & Lyden, E. (2017). Reduction in blood culture contamination through use of initial specimen diversion device. Clinical Infectious Diseases, 65(2), 201-205. https://doi.org/10.1093/cid/cix304

(4) Zimmerman, F. S., Assous, M. V., Zevin, S., & Wiener-Well, Y. (2019). Reducing blood culture contamination using an initial specimen diversion device. American Journal of Infection Control, 47(7), 822-826. https://doi.org/10.1016/j.ajic.2018.12.004

(5) Lee, A., Mirrett, S., Reller, L. B., & Weinstein, M. P. (2007). Detection of bloodstream infections in adults: how many blood cultures are needed?. Journal of Clinical Microbiology, 45(11), 3546-3548. https://doi.org/10.1128/JCM.01555-07

(6) Cockerill, F. R., et al. (2004). Optimal testing parameters for blood cultures. Clinical Infectious Diseases, 38(12), 1724-1730. https://doi.org/10.1086/421087

(7) Centers for Disease Control and Prevention. (2022). Blood Culture Contamination: An Overview for Infection Control and Antibiotic Stewardship Programs Working with the Clinical Laboratory. https://stacks.cdc.gov/view/cdc/123257

(8) Everts, R. J., Vinson, E. N., Adholla, P. O., & Reller, L. B. (2001). Contamination of catheter-drawn blood cultures. Journal of Clinical Microbiology, 39(9), 3393-3394. https://doi.org/10.1128/JCM.39.9.3393-3394.2001

(9) Mermel, L. A., et al. (2009). Clinical Practice Guidelines for the Diagnosis and Management of Intravascular Catheter-Related Infection: 2009 Update by the Infectious Diseases Society of America. Clinical Infectious Diseases, 49(1), 1-45. https://doi.org/10.1086/599376

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